最新記事
映画

麻薬カルテルのボスが性転換で「アンチヒロイン」に...映画『エミリア・ペレス』は犯罪サスペンスで異色のオペラ

A Wild Ride of a Movie

2025年3月21日(金)15時13分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)

映画『エミリア・ペレス』でジェシーを演じるセレーナ・ゴメス

ジェシー(中央)も実は悩みを抱えていた NETFLIXーSLATE

エミリア役のガスコンの強烈な存在感は、脇を固める俳優陣の好演をかすませるどころか逆に光らせる。

リタ役のゾーイ・サルダナ(Zoe Saldaña)は歌手・ダンサーとしての新たな一面を見せ、エミリアの元妻ジェシーを演じるセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)は役に際どいユーモアと自滅的な残酷さを与えている。


第1幕は全てエミリアではなく、メキシコシティの有名弁護士事務所で刑事事件を担当する弁護士リタを軸に展開する。上司は性差別主義者で、妻を殺した金持ちの暴力夫を弁護。優秀なリタのサポートのおかげで勝訴続きだ。

裁判所から出てきたリタは悪党上司の下で働くことへの怒りを込めて、通りがかった女性清掃作業員たちのコーラスをバックに歌で不満を爆発させる。

だが上には上がいる。リタは麻薬カルテルのボス、マニタス(ガスコン)から、極秘計画の実行に手を貸せば彼女が考えたこともないような高額の報酬を払う、と持ちかけられる。自分が死んだと見せかけ、念願の性別適合手術を受けて身も心も女になりたいというのだ。

第1幕のラストでマニタスは手術を受け、エミリアとなって登場する。

予測不能の展開が本作の最大の売りだからネタバレは控えるが、エミリアはかつてのマッチョな悪党とは一変。フェム(レズビアンの女役)のようにエレガントで女らしく、死んだマニタスの裕福ないとこだと偽って、元妻のジェシーと子供たちをメキシコに呼び戻す。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ジェファーソンFRB副議長、26年見通し「慎重なが

ビジネス

SF連銀総裁「米経済は不安定」、雇用情勢の急変リス

ワールド

12年のリビア米領事館襲撃の容疑者を逮捕=司法長官

ビジネス

米国株式市場・午前=ダウ一時1000ドル高、史上初
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 9
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 10
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中