最新記事
俳優

80年代に一世を風靡「ブラット・パック(若造軍団)」と呼ばれた過去を「美化せず再評価」したい

Brat Pack Nostalgia

2024年8月7日(水)17時39分
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)
アンドリュー・マッカーシー

この40年で若い役者への対応が変わったとは思えないと語るマッカーシー REX/AFLO

<『セント・エルモス・ファイアー』や『プリティ・イン・ピンク』など青春映画で人気を博し、同世代の若手俳優と共に「ブラット・パック」と呼ばれた俳優アンドリュー・マッカーシー。61歳になり、当時と今を語る──(インタビュー)>

1980年代半ばのハリウッドに「ブラット・パック(若造軍団)」と呼ばれる若手の俳優たちがいた。当時の青春映画で人気を博し、共演機会も多かったロブ・ロウやエミリオ・エステベス、デミ・ムーアらを、米ニューヨーク誌がまとめてそう呼んだ。

以来40年、かつてブラット・パックの一員だったアンドリュー・マッカーシーが思い立って、自分たちの若かりし日を振り返るドキュメンタリーを撮った。題して『ブラッツ(若造たち)』(Huluで配信中)。

撮影では昔の仲間たちに再会し、自分たちを「若造」呼ばわりした憎きジャーナリストにも会った。


40年前には、ひとくくりに「若造」と呼ばれることにマッカーシーも反発していた。でも今は、まあ納得している。

「あれから何十年もたつのに、道で私を見かけた人が駆け寄ってきて、言うんだ。『あれまあ、あんた、私の青春の......』って。それで気付いた。みんな、私に話しかけているんじゃない、若き日の自分に語りかけているんだと」

気が付けばマッカーシーも61歳。40年前を顧みて、いま何を思うのかを本誌H・アラン・スコットが聞いた。

◇ ◇ ◇


──すごく泣けてくる映画だけど、そこが狙いかな?

ああ、懐かしさで見に来る人がほとんどだろうね。昔はよかった、みたいな気分で。でも私は違う。あの頃から現在までを、すごく個人的に再検証してみたかった。過去を美化して懐かしむのと、本気で評価し直すのは違う。

──「ブラット・パック」誕生の経緯は?

80年代の前半に、ハリウッドは気付いたんだ。若者は同じ映画を5回でも6回でも見るけど、大人は1回きりだってことに。だから大人は相手にせず、若者たちの映画をせっせと作れってことになった。そのタイミングで、私たちは若者代表としてデビューした。それだけのことさ。

で、ジャーナリストのデビッド・ブラムが、あの記事で私たちに、あのレッテルを貼った。ちょうど映画界のカルチャーに激震が起きていた時期だったから、「ブラット・パック」が注目され、やたら話題になったわけだ。

──若い才能に対するメディアの扱いは、この40年で変わったと思う?

思わない。ただし、あの記事が今の時代に出たとしても、あんな影響力は持てないと思うね。私を含め、みんながすぐに自分のSNSで反論するはずだから。それに、今の世の中は価値観も趣味もバラバラだから、当時のような大騒ぎにはならない。

だからといって、人々が何かを学んだとか、今後は若い才能をもっときちんと扱うべきだと反省したとか、そんなふうには思えない。そんな考えは甘すぎるね。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中