最新記事

米社会

「おたく」と呼ばないで──マーチングバンド部という「スポーツ」とアメリカ社会

Marching Bands Are Cool

2023年2月17日(金)11時35分
ビンセント・ゲレロ(高校2年生、ニュージャージー州在住)
マーチングバンド

いまひとつイケてないイメージに筆者は抗議 JOSEPH BUTZ

<ばかにされることもあるが人々に愛されているし、何より芸術とスポーツの見事な融合。誰が何と言おうとマーチングバンドは最高にかっこいい!>

アメリカンフットボールのシーズンにスタジアムで欠かせない存在、それが私たちマーチングバンドだ。

試合のハーフタイムに演奏し、観客におやつを食べる機会を与える。学校のホームカミングデーや、ニューヨークの百貨店メーシーズの感謝祭パレードでもおなじみだ。

私のように高校のマーチングバンドにいると、全米の学校とコンクールで競う機会もある。そして選ばれし22団体は、大学フットボールの王座決定戦「ローズボウル」のパレードで演奏の機会を与えられるのだ。

私は小学4年生の時から野球漬けの生活を送ってきた。最強でもなければ最も才能に恵まれた選手でもなかったけれど、常に一軍にいて、勝利にも大いに貢献してきた。

高校でも野球部に入ったが、プレーをする楽しさをストレスが上回り始めていることに気が付いた。だから私はグローブとバットを置き、マーチングバンドでバスドラムをたたくことにした。

マーチングバンドには補欠の選手もいなければ、出場チャンスを待ちわびている人もいない。誰でも参加できて、楽器の弾き方を知らなくても大丈夫だ。私自身はドラム経験があったけれど。

当初は野球からの転向を後悔したこともある。でもすぐに、スポーツ選手として体をつくってきたことはマーチングバンドでも無駄にはならないと気が付いた。

ドラムの重さは5~20キロくらいあり、これを抱えながら仲間たちと隊列を組んで行進しなければならないのだから。

マーチングバンドはどう考えてもスポーツだ。ジョージア州学校協会ははっきりとそう定義している。インディアナ大学のバスケットボール部の監督だったロバート・ナイトは、練習の厳しさはバスケよりマーチングバンドのほうが上だと語っていた。

「おたく」と呼ばないで

マーチングバンドはアメリカ文化には欠かせない要素だし、必要とされていると私は思う。ソーシャルディスタンスの名の下に演奏の機会がなくなったときも、人々はマーチングバンドの火を絶やすまいと戦った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏が減税拡大表明、移民流入に警告も 78歳

ビジネス

韓国現代自動車、インド子会社が上場申請 同国最大の

ビジネス

機械受注4月は前月比2.9%減、判断「持ち直しの動

ワールド

バイデン氏がセレブと選挙資金集会、3000万ドル調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 3

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドンナの娘ローデス・レオン、驚きのボディコン姿

  • 4

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 7

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 8

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 9

    サメに脚をかまれた16歳少年の痛々しい傷跡...素手で…

  • 10

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 7

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中