最新記事

サイエンス

世界中の男性が日本のエロアニメに夢中になる理由とは?

2023年1月19日(木)15時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
マンガ

Wachiwit-iStock

<すでに19世紀にはルーツとなる木版のエロマンガが存在していた日本。男性の脳が反応する「絶対領域」について>

ボストン大学の認知神経科学者、オギ・オーガスとサイ・ガダムは、4億の検索ワーズ、数十万の官能小説、4万のアダルトサイトのデータを調べ上げ、男と女とゲイの「知られざる欲望」を解明。アメリカのアマゾンのコメント欄が大荒れした奇書『性欲の科学──なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか』(CCCメディアハウス)より、抜粋する。

◇ ◇ ◇


エロチックアートについて考えてみるのも、男性の性的欲望の引き金となるキューを理解するのに役立つ。アーティストなら、物理学も生物学も気にせずに、想像できる限りの肉体を、思う存分に描ける。

特定のジャンルのエロチックアートがいくつもの文化で人気になっているとしたら、そのアートは、男性に生まれながらに備わる性的欲望ソフトウエアを稼働させていると考えていい。インターネットの普及にともなって、エロチックアートの1ジャンルが台頭し、今では、世界のいくつもの国で、揺るぎない人気を確立している。

そのジャンルとは、「日本のアニメ」だ。アメリカでは、1990年代に、裁判所がわいせつ法を緩やかに解釈するようになったことで、日本のエロチックアニメの流入を阻んでいた水門が開かれた。

日本では、すでに19世紀に、今のエロチックアニメのルーツとなる木版のエロマンガが存在している。インターネットが誕生すると、日本のアニメはまたたく間に世界に広まった。エロチックアニメやエロチックアートの検索のなかでは、日本のアニメ(一部では「ヘンタイ hentai」の名で通っている)の検索が、アメリカ、ロシア、フランス、タイ、ブラジル、オーストラリアでトップに立っている。

こうした状況から考えると、日本のアニメは、男性の「目」を惹きつけるキューを効果的に使っていると言えるのではないだろうか(ドッグパイルの性的検索ワーズでは、日本のアニメ以外のものも含めた「アニメ」が、興味の対象の10位になっている)。

では、日本のアニメに描かれている女性は、どんな感じなのだろうか? 一番多いのは女子高生だ。目は、赤ちゃんのようにつぶらで大きく、「バッド・ロマンス」のミュージックビデオのレディ・ガガといい勝負だ。

声は極端に高い。高校の制服を着ていることが多く、プリーツスカート、ベスト、サドルシューズが定番となっている。性体験がないことが多く、セックスのことを口にするのを恥ずかしがる(それは、ほおが赤くなることでわかる)。

ところが、こうした「若さ」を示すキューをたくさん備えているにもかかわらず、ありえないくらい胸が大きい。さらに、お尻は完ぺきなまでに丸く、引き締まり、ウエスト対ヒップの比の値が小さく、足が小さい。そして、特筆すべきことに、日本のアニメには、とてつもなく大きなペニスの男がたびたび登場し、ときには少女の腕より長いペニスの男が登場する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中