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国際演劇人・野田秀樹が英語劇にこだわるシンプルな理由

2022年10月7日(金)17時55分
澤田知洋(本誌記者)

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NODA・MAP第25回公演『Q』: A Night At The Kabuki(撮影:篠山紀信)

結果として「この作品からロンドンでのキャリアが始まったと感じた」と野田が語るほどの好評と興行的成功を収め、10カ国14都市で上演。日本語版として逆輸入もされた。以後、野田は英語と日本語両方で芝居を作り続けている。

英語で演じるのも一段とハードルが高そうだが、「イギリスで信頼を得られたのも自分が役者をやっているからだと思う。彼らが見たことのないフィジカル性で、演出に説得力を与えたんじゃないかな」と、野田は言う。

逆にイギリスの演劇文化から影響を受けてもいる。役者が徹底的に理詰めでせりふを考える気風を日本での演出で実践。劇中で安易に音楽を使って感情を揺さぶることを意識的に避けるようにもなった。

『Q』への道につながった、英語での作品作りや海外公演になぜこだわり続けるのか。野田の答えはシンプルだ。「イギリスに行ったら(ハンターら)仲間がいたから」。野田演劇の身体の軽やかさそのままに、国境は越えられていた。

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