最新記事

韓国映画

コン・ユ&パク・ボゴム主演の話題作『SEOBOK/ソボク』のイ・ヨンジュ監督に聞く

2021年7月17日(土)12時56分
大橋 希(本誌記者)

――パク・ボゴムさんは映画初主演ですが、なにかアドバイスはしましたか? 作品についてどんな話をしましたか?

当然のことながら、彼が演じる人物の感情はどういうものかについて、よく話し合いました。監督が俳優に対して「演技指導をする」という言葉がありますが、私はその言葉があまり好きではなくて......。私自身は演技をしたことがないですし、演技を知らないので、俳優に指導をすることはできないと思っているからです。

だから私にできることは、脚本の中で構想したことや私が撮りたいと思っているシーンについて最大限の説明をする、その努力をすることですね。ここはこういう気持ちでいてほしいとか、このシーンはこんなムードにしてほしいとか、そんなふうに説明するのが私のできる全てで、俳優さんにアプローチする方法だと思っています。

私は『不信地獄』でも、2作目の『建築学概論』でも、そして今回の『SEOBOK/ソボク』でもそうですが、現場編集というものをします。

編集スタッフがいて、現場で撮ったものをその場で編集して俳優に見せる。そうすると俳優さんたちも状況が分かるので、次のシーンの演技の助けになると思います。私自身も「脚本ではこう書いたけれど、実際に撮ったらこんな感じ」というのが分かるので、次のシーンの準備に役立ちますね。

そんな風に常にフィードバックをしながら、細かいところに気を配りながら撮っています。脚本が絵を描くときの下絵だとすると、それを元にして現場で俳優の演技が加わり、目が書かれ、姿形がどんどん描かれていく――そんな感じで作品が出来上がっていきます。

210717web_on02.jpg

撮影中のイ・ヨンジュ監督 ©2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED

――コン・ユさんには一度オファーを断られたそうですが、どのように説得したのでしょうか。

まだ一度も会っていないときに彼の元に脚本が渡り、そのときは出演を断られました。その後、私は脚本を書き改め、直接お会いしてその脚本を渡しました。それが説得といえば説得になるかもしれません。2度目も断られたら別の俳優さんに頼まなければいけないと思っていましたが、彼は受けてくれました。

――ソボク(徐福)は、秦の始皇帝の使いで不老長寿の薬を探しに行った人物ですが、その名前を主人公に付けることはすぐに決まったのでしょうか。

企画を立ち上げてから10カ月後ぐらいに思い付きました。秦の始皇帝が不老長寿の薬を探していたことは知っていても、それを探しに行ったのがソボクだとはみんな知らないかもしれない。でもその程度でいいと思ったんです。映画を見た後で分かってもらえればいいな、と。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル・イラン衝突、交渉での解決が長期的に最善

ビジネス

バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付

ワールド

訂正-韓国大統領、日米首脳らと会談へ G7サミット

ワールド

トランプ氏、不法滞在者の送還拡大に言及 「全リソー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中