最新記事

韓国映画

「心をえぐられた」「人生で一番泣いた」...ハリー杉山のオススメ韓国映画5本

2021年5月4日(火)08時57分
ハリー杉山

韓国では光州事件の前年に、朴正煕大統領を大統領直属の中央情報部(KCIA)部長が射殺する事件が起きました。軍事政権にいったん幕が下りた1979年10月26日は、韓国という国が永遠に変わった一日だったと思います。

210504P52_HRY_03namsan.jpg

EVERETT COLLECTION/AFLO

この暗殺事件に基づく『KCIA 南山の部長たち』(20年)を3作目に挙げます。監督は『インサイダーズ/内部者たち』のウ・ミンホ。非常にうまく作られたサスペンスで、見事なテンポ感に心を奪われました。ミャンマーでいま起きていることを彷彿させるような部分もあり、見ている間はずっと心がひりひりしていました。

KCIA部長を演じ、新たな扉を開いたイ・ビョンホンが最高です。葛藤する彼が髪をくしゃくしゃかき上げるようなシーンで、彼のファンはとろけてしまうはずです。

見たことのないような視覚効果

これらの作品とは違ってちょっとくだらない作風に感じますが、ぜひ見てほしいのが『神と共に』シリーズ。『神と共に 第一章:罪と罰』(17年)、『神と共に 第二章:因と縁』(18年)で、第三章の製作も噂されています。

210504P52_HRY_04gods.jpg

SHUTTERSTOCK/AFLO

オープニングで心優しい消防士が火災現場で命を落とす。その瞬間、冥界から使者2人が現れ、主人公に「死後の49日間で7つの地獄で裁判を受け、全て無罪なら転生できる」と告げる――というストーリーがとにかく最高ですが、VFX(視覚効果)も見たことのないようなすごさです。『ハリー・ポッター』の「死喰い人」の何百万倍も怖い怪物が現れたり、『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいな描写が次々と出てきたりします。

裁判で使者が消防士を弁護するところは弁護士映画のようでいて、その闘いの場が地獄なのがエグい。例えば、巨大な滝の上から次々と人が流されていくのを背景に裁判が行われます。ダンテの『新曲―地獄篇―』にあるような、「こういう所には行きたくない」と子供の頃に思ったような描写で、そのすごさは見ないと分からないですね。

下界と地獄を行ったり来たりする構成も見事。第二章には僕が大好きな、相変わらずアイドルのウエストくらいの腕の太さをしたマ・ドンソクも登場します。くだらないシーンに笑えて、でも最後には心温まり、泣ける傑作です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有

ビジネス

FOMCが焦点、0.25%利下げ見込みも反対票に注

ワールド

ゼレンスキー氏、米特使らと電話会談 「誠実に協力し

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中