最新記事

韓国ネチズン、黒歴史復活に戦々恐々? レトロブームで往年のSNSサイワールドが復活へ

2021年3月18日(木)11時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

両方とも、スマホ対応に乗り遅れたのが廃れた原因である。ところが今、この2サイトがスマホ対応で復活し再ブームを狙っているという。サイワールドは、先日5月に復活するという発表が行われた。バディバディもLINEやKakaoTalkがすでに定着しているなか、どのような戦略で復活をするのか楽しみである。

mixi最後にログインしたのはいつ?

さて、今回のサイワールド復活の話が、当時20代だった同世代の韓国人友達との間で噂になり始めた頃、日本発のSNSであり同じく2000年代に一世を風靡した「mixi」を思い出した。

今、巷で話題となっている音声型SNS「Clubhouse」や、翌朝にならなければ見られない写真SNS「Dispo」などは、完全招待制度が注目を集めたが、mixiも開始当初は友人からの招待が無ければ会員になれなかったのだ(その後2010年には招待制は廃止されている)。

ちなみに、mixiは今でもログイン可能である。今回の韓国のレトロWEBサイトブームに乗っかり、筆者も久しぶりに日本版ニュートロ「mixi」にログインしてみた。

写真は、2011年から2015年まで「観た映画リスト」をこまめにアップしている。仕事上年間300本以上は観ているであろう作品のポスターと日付を全てアップしているとは、我ながらマメだなぁと感心してしまった。

そして、mixiといえば何といっても「日記」である。2006年の2月2日から2013年まで、最後は1年に数日しか書いていないものの、なんと7年分の日記が出てきた。

夢のため異国で必死にもがいていた7年前の自分

2014年4月14日には、韓国の国営放送局であるKBSから会社に電話がきたようだ。筆者が勤めていた映画配給会社で購入したアニメ映画を、KBSの映画紹介番組で放送してくれる予定だった。しかし、主人公が着物を着ているシーンがあり、これがセンサーシップに引っかかるらしく、編集しなくてはいけないとの連絡があった。日記の最後には「アニメでも着物はまだ放送NGなのね...」と締めくくっている。この当時、政治情勢的な事情や日本文化にまつわる規制もまだまだ多く、日記を見ているとそういった愚痴が多い。

さらに、会社のエピソードでは、2010年1月、なんと韓国海軍から電話が来る。海軍担当者が「そちらの会社で、ここ最近新人俳優や歌手などのオーディションなどは行いましたか?」 と電話口で尋ねてくる。「会社名に"エンターテインメント"が入っていますが、うちは映画の売り買いをする会社なので、俳優とかのエージェンシーではありません。」と説明する当時の筆者。

海軍担当者は納得したが、理由が気になったので「どうしたのですか?」と聞くと、「海軍から脱走者がでたのですが・・・彼が以前から芸能人になりたいと言っていたのです」 「そしたら昨日、彼名義の携帯の電源が○○区エリアで入ったので、このあたり一体のエンターテイメントの会社に片端から電話かけているところです」という回答。まさに、韓国の映画会社ならではのびっくりエピソードである。

結局、自分の日記が懐かしく2時間近く遡って読みふけってしまった。外国人として韓国という異国で、映画という自分の夢をかなえるために必死でもがき、状況にしがみついてでも付いていこうとする当時の自分と対面し、愛おしく感じた。

日記とは、こうして読み返すために書いておくのかもしれない。小さな悩みも、仕事の愚痴も、失恋の悲しみも、文章にぶつけている自分がいじらしく、タイムマシーンに乗って「大丈夫だよ、この後何とかなるよ。この後笑い話になるよ」と語りかけてあげたい気分だ。

サイワールドが復活した暁には、当時の写真もザクザク出てくることだろう。どんな自分に再会できるのか、復活予定の5月が今から楽しみである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

外貨準備のドル比率、第3四半期は56.92%に小幅

ビジネス

EXCLUSIVE-エヌビディア、H200の対中輸

ワールド

25年の中国成長率、実際は2─3%台か 公式値の半

ビジネス

利下げしなければ、景気後退リスク増大─ミランFRB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中