最新記事

ネット

韓国もフランスも続々と キッズ・ユーチューバーへの規制始まる

2020年11月3日(火)09時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国は差別的な内容などを禁じるガイドライン

それによると、「性的な動画、虐待動画禁止」「差別的な内容の動画制作禁止」「18禁のゲームやコンテンツを紹介してはいけない」等の動画内容に関する項目があり、さらに撮影に関しては「深夜時間(午後10時~朝6時)に、生配信に出演してはいけない」「休憩時間無しで3時間以上、1日6時間以上の動画出演禁止」という禁止事項も記載されている。これは、未成年子役と同じ労働条件だ。

これはあくまでガイドラインであり、法律ではないため強制性はないが、ダイヤTV、トレジャーハンター、サンドボックスネットワークなどの動画配信プラットホーム事業者は、この指針を元に動画配信者対象のセミナー及びコンサルティングを行う予定だという。

また、各メディアセンターの「個人メディア製作教育コース」受講生たちには、韓国電波振興協会を通じてこのガイドラインの内容も授業の一環として指導していく予定だという。

日本の現状は......

日本では、子役に対しては法律による規制が存在する。労働基準法56条第2項により、子供たちは就学に差し支えなければ保護者の許可を取って仕事が可能だが、一方で子役の年齢によって多少違うはあるものの、基本的に労働時間は1週間に40時間、1日7時間を超えてならない、となっている(労働基準法60条)。

賃金は基本的に直接本人に支払うものとする(労働基準法59条)。また、午後8時以降午前5時までの出演は禁止されている。しかし、これは今の時点で事務所に所属しないユーチューバーには適用されていない。もしも、今後、キッズユーチューバーにも子役の法律が適応されるなら、この時間に撮影や、ゲーム配信などもできなくなる可能性がある。
 

ユーチューブ自体も規制をしたが......

キッズチャンネルといえば、今年の初め、ユーチューブは児童オンラインプライバシー保護法に基づく連邦取引委員会の指導に合わせて、世界の子供向けコンテンツに対し、パーソナライズド広告と、視聴データ収集などを停止する取り組みを始めた。

これにより、多くの子ども向けチャンネルへの広告収入の心配がされたが、冒頭にも登場したライアン君をはじめ、有名キッズユーチューバーは広告収入より企業とのスポンサー契約が主な収入源になっており、ランキング上位ユーチューバーの懐事情にはそこまで影響がなかった様子である。

親が子どもにユーチューブを見せるとき、登場人物が子供だと安心して見せることができるだろう。子供たちも自分と同年代の人たちが活躍するチャンネルを好んで見ているようだ。たしかに、何もかも規制でがんじがらめにしてしまうのには反対だが、すでに収入が発生し、子役と同じように仕事になっているのなら、それはすでに趣味の域を越えて「プロ」と言えるだろう。売上を伸ばすために子供たちが苛酷な労働をすることがないよう、フランスや韓国と同じく撮影でのガイドラインを作り、守ってあげることも必要ではないだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英インフレ低下を示す力強い証拠を確認=ベイリー中銀

ビジネス

IMF経済見通し、24年世界成長率3.2% 中東情

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック続落、金利の道筋見

ビジネス

NY外為市場=ドルが対円・ユーロで上昇、FRB議長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中