最新記事

韓国社会

BTSを抜いた! 2019年韓国で大ブレイクした新人スター「ペンス」とは?

2019年12月9日(月)19時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

韓国の教育番組から生まれた新人スター、ペンス。練習生ながら今ではその名を聞かない日はないほどの人気者になった。연합뉴스TV / YouTube

<韓国で今、話題となっているYouTubeから火が付いたスター。その人気には、若い世代の格差社会への不満が影響している?>

早いもので2019年も残すところ3週間あまり。年末恒例の"1年の総決算"が次々と発表されるなか、韓国の就職ポータルサイト「インクルート」が調査した「2019年今年の人物」に話題が集まっている。このアンケートは、韓国の成人男女2,333人が、社会・文化や経済・企業など、各分野で今年最も活躍したと思われる人物を選び発表されるというものだ。

その中で、放送・芸能部門の1位となったのが、今回紹介する「ペンス」だ。ちなみに、2位は先日人気オーディションで優勝し、老若男女に人気の韓国演歌歌手ソン・ガイン(17.6%)、3位はワールドワイドに活躍し、日本でも高い人気を誇るBTS(16.7%)だった。この数字をみてもペンスの人気ぶりがわかるだろう。

■関連記事:韓国オーディション番組にまたも疑惑 アイドルの次は韓国演歌

では、ペンスとはいったい何者なのだろうか? このヘッドフォンをしたペンギンの着ぐるみキャラクターは、韓国の公営放送局EBS(韓国教育放送公社、日本のNHK教育テレビジョンに相当)から生まれた。現在EBSの練習生で、韓国でスターになるために南極から泳いでやってきたという10歳のペンギンという設定になっている。

2019年4月2日に始まった新番組『ジャイアント・ペンTV』に登場し、同時にこの番組のYou Tubeチャンネルもスタート。開始当初はフォロワー数がたったの37名だったという。ところが、11月には100万人を超え、現在123万人(12月8日調べ)にも上っている。

他の調査ではソン・ガインと決選投票

ちなみに、通信大手SKテレコム参加のポータルサイト、ネイトも同様の"今年のホットスター"というアンケート調査を実施、8日に結果を発表したが、こちらでは順位が逆転し、1位は演歌歌手ソン・ガインとなった。ネイトでは「サイトにアクセスしたユーザー20,232人が投票し、20代が多くを占めるインクルートの調査よりも偏りがなく公正だ」と主張している。投票は、ソン・ガインとペンスによる決選投票が実施され、72%と圧倒的な数でソン・ガインがペンスを破ったという。とはいえ、BTSなど並み居るスターを差し置いて決選投票に進んだペンスはただ者ではないようだ。

EBSといえば、幼児向けの教育番組も放送しているだけあって、これまでにも様々なキャラクターを生み出してきた。しかし、いくら人気のあるキャラクターとはいえ、ここまで国民的な支持を集めるキャラクターはいなかった。今までのキャラクターとはいったい何が違い、韓国人の心をつかんだのだろうか?

このペンスは、一種の「ゆるキャラ」のような立ち位置をとっている。子供に人気の出そうなペンギンの風貌をしているが、実際ペンスを応援しているのは20~30代のミレニアム世代だという。

また、映像を見ると声はプロの声優さんが担当しているわけでなく、若干キャラクターを作っているはいるものの、一般的な男性の声。音声が籠っているところから推測すると着ぐるみの「中の人」が直接声を出しているようだ。街へ繰り出したり、スタッフも映像に登場したりするのは近年の韓国バラエティー番組でありがちだが、幼児向けのキャラクター番組では初めてだろう。

さらに、番組やさらには放送局の垣根を越えて、一人の出演者として様々な番組にも登場している点も珍しい。ここまで読んで、日本のあるキャラクターが思いだされないだろうか? そう、一世を風靡した日本のゆるキャラ、ふなっしーと少々似ている点がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

オランダ政府、ネクスペリアへの管理措置を停止 対中

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

中国、日本産水産物を事実上輸入停止か 高市首相発言
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中