最新記事

映画

韓国「アナ雪2」1000万人突破の影でディズニー訴えられる 大ヒットを支えた「ドベ」とは?

2019年12月15日(日)14時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

韓国のスクリーンの9割を独占するシネコン

観客は、映画館で同じ映画を繰り返し見続けたいわけではない。ではなぜこのような、1本の映画がスクリーンの88%も独占するような事態になっているのだろうか? 大きな理由の一つとして、韓国のシネコンチェーン業界がパワーを持ちすぎたという点があげられる。

韓国の映画館はCJ、ロッテ、メガボックスの大手シネコン3社が全国の92%もの映画館を牛耳っている。この3社は映画館経営だけでなく、自社で洋画の買い付けはもちろん製作も行っている。自社が製作・買い付けした映画の資金回収を重視して配給するため、シネコンでは1回でも多くこれらの作品の上映回数を増やしたいのはわかるが、一方でこの3社以外の映画会社は自前の劇場をもっていないため、映画の上映をシネコン側にお願いする立場となる。3社配給作品のわずかな隙間に上映してもらうのだ。

せっかちな韓国の国民性も影響?

また、韓国では映画の配給にあたって「何週間はこの映画館で確実に上映し続ける」という公開保障がなく、人気が無ければ1週間もしないうちに打ち切りとなる。日本のように都市部で先行封切りして、様子を見ながら公開規模や期間を決めるというシステムも一部の独立映画を除き、一般上映では行っていない。

これは違法ダウンロードが多く、さらにDVD市場がほぼ消滅している韓国の映画業界の特徴であり、素早く公開し利益を回収してしまおうということからだ。その為に集客が見込まれるとなれば、一気に最大数のスクリーンを押さえて封切るスタイルが定着した。

また、そもそも韓国と日本では映画を観る方法が多少異なっている。ネットやスマホの普及によって、今はオンラインで上映時間の検索ができるが、日本でひと昔前までは情報誌や新聞で上映時間をチェックしたり、直接映画館に電話をかけたりして情報を得る人がほとんどだった。

一方、韓国では映画を観るときは直接映画館に出向き、その時間にちょうど上映している映画のチケットをその場で購入する人が多かった。慎重に前もって時間を確認して映画館に出向く日本人よりも、何事もサッサとすませたがる国民性の韓国人は、映画を気軽な娯楽として楽しむ人が多いのだ。

その心理は今も残っているため、人気の映画はいつ行っても上映しているように多様なスケジュールで上映しなくてはならない。実際スクリーン独占作品と言われている映画は、約30分間隔で上映されているため、時間を気にせずいつ行っても、少しの待ち時間で次の上映が見られる状態になっている。

「上映時間に合わせて出向かなくてはならない」という点は、今後好きな時に自分のペースで観られる配信サービスの定着によって、映画館での映画鑑賞の醍醐味から弱点へと変わっていくかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏

ワールド

イラク、外国企業運営の油田で不可抗力宣言 ホルムズ

ワールド

英、米軍による基地使用承認 ホルムズ海峡攻撃巡り 

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、中東緊迫の長期化がインフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「嘘でしょ!」空港で「まさかの持ち物」を武器と勘…
  • 9
    将来のアルツハイマー病を予言する「4種の先行疾患」…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中