最新記事

パックンのお笑い国際情勢入門

「下ネタは世界共通。男たちは同じオチで、同じ顔で笑う」早坂隆×パックン

2019年8月9日(金)19時50分
ニューズウィーク日本版編集部

パックン 僕の持論は、弱者をバカにするといじめになる、権力者とか強者をバカにすると風刺になる。

早坂 そうですね。そう思います。

この前、テレビを見ていたら、日本のテレビは体制を風刺する笑いが少ないと誰かが言っていた。別の人が、チャプリンの精神を日本人は忘れているんですか、と言っていた。それを聞いて思ったのは、チャーリー・チャプリンの『独裁者』は、イギリス人のチャプリンが敵対するドイツの独裁者であるヒトラーを笑いにしたものなので、今の日本に当てはめるとしたら、日本人の映画作家が習近平とか金正恩を笑う形になる。そこは丁寧に見ないと間違えてしまうと思った。

パックン 確かに、異文化に口を出すときは気を付けないといけない。たぶん、日本のイルカ漁を題材にしたジョークもいろいろあると思うが、それを聞いたら日本人はいい気分がするかというのもある。だからといって、イルカ漁を指摘する言論の1つとしては、禁じるわけにはいかない。そういうジョークが世界に存在することを(日本人も)知っておいたほうがいい。

早坂 その通りだと思う。イルカ漁はまさにそうですし、右でも左でも保守でもリベラルでも、いろいろな議論があって矛盾がある。それでお互いがやり合うときに、特にSNSが発達した今、子供の喧嘩みたいに悪口を言い合うことが多い。そういうのをもっとユーモアを交えてやれたら面白いのに。それが大人の良識だと思う。

パックン よければ最後、とっておきのジョークを1つ、読者にプレゼントしてください。

早坂 じゃあ、たぶんトランプネタ、好きですよね。

パックン 大好き。

早坂 もう知ってると思うんだけど......。

トランプがピザ屋に行って、ピザを1枚買う。ピザ屋の店員が「ピザを6つに切りますか、8つに切りますか」と聞く。トランプが言う。「6つにしてくれ。8つじゃ食べきれないから」

※前編はこちら:「日本にも政治風刺はある、強かったのは太平洋戦争のとき」早坂隆×パックン

【関連記事】「日本のお笑いって変なの?」をパックンが外国人3人と激論しました
【関連記事】日本人は「政治に興味ない」「専門的に生きている」──外国人のお笑い座談会より
【関連記事】ウーマン村本×パックン「原発や基地をやるきっかけは堀潤さん」
【関連記事】ウーマン村本×パックン「カウンターパンチは全部ありだと思う」

2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。


ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アラブ・イスラム諸国、ドーハで首脳会議 イスラエル

ワールド

イスラエル首相、トランプ氏に事前通知 カタール空爆

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中