最新記事

働き方

コロナ不況でも希望報酬を実現する交渉術とは?

The Right Words to Nab a Raise

2021年1月3日(日)11時30分
ドリー・クラーク(デューク大学フクア経営大学院客員教授)

ノーと言われた場合の対応も考えておく

仕事のオファーを受けたはいいが、給与額が希望に添わない場合はどうすればいいのだろう。シンガーによれば、まだ交渉の余地は残っている。例えば「仕事のお話はありがたく存じますが、報酬については隔たりがあるようです。ですがこの隔たりは埋めることができると思っています」と言うなどして、前向きな対話を続けるべきだとシンガーは言う。

年俸だけが報酬を測る物差しだと思っている人も多いが、それは間違いだ。シンガーは言う。「(報酬には)基本給もあればボーナスも、自社株もあれば入社時の契約金といったものもある」。他の社員との釣り合いから高い基本給を出せない企業であっても、契約金やストックオプション(自社株購入権)などの組み合わせで「満額回答」を得ることも可能かもしれない。

今の職場で賃上げを狙うのなら

最後に、転職先を探しているのではなく、今の職場で給与アップを求めたい場合はどうすればいいだろう。シンガーによれば、交渉の際は言葉遣いや話し方に気を付けるべし。「本当に辞める覚悟があるなら別だが、最後通告を突き付けるようなまねはしてはならない」と彼は言う。

「これくらい頂きたいと考えています」と言って、その根拠として自分がどれほどの価値を会社にもたらしているか、分かりやすく示すのがお勧めだ。例えば「私はこのくらい売り上げ(経費節減、顧客満足度の向上など)に貢献しました。そのことと相場を考え合わせると、私の働きぶりは給与アップに値すると思います」と言ってもいい。

コロナ禍においても、こうしたシンガーのアドバイスを取り入れれば、報酬アップに向けた説得力のある主張を展開できるはず。そうすればキャリアの可能性もさらに開けるだろう。

<2020年12月29日/2021年1月5日号掲載>

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平交渉団帰国へ、ゼレンスキー氏「次の対

ワールド

ベネズエラ、麻薬犯罪組織の存在否定 米のテロ組織指

ビジネス

英予算責任局、予算案発表時に成長率予測を下方修正へ

ビジネス

独IFO業況指数、11月は予想外に低下 景気回復期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中