最新記事

投資の基礎知識

株式か投資信託か──自分に向いている資産運用を見極めるには?

2018年6月30日(土)15時00分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

投資信託には"負け組"も多い!?

運用をお任せできる投資信託ですが、その運用スタイルは「インデックス・ファンド」と「アクティブ・ファンド」の2つに分かれます。

インデックス・ファンドは、日経平均やTOPIXなど特定の指数(インデックス)をベンチマークとして、それに連動する運用を目指しています。一方、アクティブ・ファンドは、ファンドマネジャーの哲学に基づいて運用し、ベンチマークを上回る成績を目指します。インデックス・ファンドに比べてコスト(信託報酬)が割高です。

そう聞くと、アクティブ・ファンドのほうが高い業績をあげているはず......と思いきや、実は、日本のアクティブ・ファンドの過去10年間の平均リターンは年率1.4%、なんと全体の約3分の1がマイナスとなっていました(いずれも信託報酬控除後)。

このことは、2017年に森信親・金融庁長官が日本証券アナリスト協会で行った講演でも指摘されました。この10年間で日経平均株価は年率約3%上昇しており、手数料が高いにもかかわらず、アクティブ・ファンドの大半がインデックス・ファンドに負けてしまっているのです。

【勝ち組の代表格・ひふみ投信】

もちろん、なかには勝ち組のアクティブ・ファンドもあります。独立系のレオス・キャピタルワークスが運用する日本株投信「ひふみ投信」は2008年10月の設定以来、350%超の驚異的なパフォーマンスをあげています(2017年10月30日現在)。

kabumado180630-chart2.png

同社の社長で最高投資責任者でもある藤野英人氏は、SNSやメディアを通じて個人投資家に自ら投資哲学を語り、自社サイトでの情報発信なども積極的です。

アクティブ・ファンドを選ぶなら、どういった運用プロセスなのか、どのような投資哲学があるのかを納得したうえで投資することが大切です。"負け組"を選んでしまわないよう慎重に選んだうえで、定期的に基準価額や運用方針、資産総額もチェックするようにしましょう。

ファンド選びは銘柄選びと同じ

結局のところ、投資信託であっても自己責任の上に成り立っているのです。運用は任せるにしても、投資信託(ファンド)を選択する目は必要です。「全部やってもらえる」という思いで投資信託を選ぶ人も多いのですが、ファンド選びは銘柄選びと同じくらい重要なのです。

なお、AIを活用した「ロボットアドバイザー」も、投資家のニーズに適した投資信託による最適なポートフォリオを勧めてはくれますが、どのロボットがいいのか、サービスの質を見極めることは必要です。

一方で、自分で運用したい人には株式が向いています。手間暇かけて銘柄を調査し、リスクを見極め、投資判断は自分自身で行う......そうしたことを厭わずに楽しめる人です。これは、株主優待や配当金を狙った場合でも同じです。

それぞれの特徴や留意点を総合的に判断して、あなた自信に向いている投資方法を見極め、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。

[筆者]
岡田 禎子[おかだ・さちこ]
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆、セミナーなどで活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英シェル、マレーシアの給油所売却でサウジアラムコと

ビジネス

米大統領発言は正確な理解に基づかず残念、日本の施策

ワールド

米大統領選とEU議会選、保護主義台頭を警戒=豪マッ

ワールド

ウクライナ和平会議、ロシアも参加すべき 中国大使が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中