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【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、年間6000億円の原資を生み出す大胆提言

2025年12月21日(日)11時10分
海老原嗣生(雇用ジャーナリスト、大正大学客員教授)

企業が負担した年金料は没収! という矛盾

一方で、企業が支払った年金料は厚生年金の原資として没収されてしまいます。この点、少し違和感を覚えませんか? 本来であれば、これは支払った外国人の資産となるべきです。百歩譲って、同僚や後輩外国人の就労条件向上に使われるのであれば、まだ納得もいくでしょう。が現状は、全く関係のない日本の年金受給者のために使われている......。

従来ならその額もさしたることがありませんでした。まだ特定技能資格がなかった2018年だと、30万人の技能実習生に、1人当たり年20万円を企業が負担したとして、その額は年600億円程度です。

それが昨今では、特定技能と技能実習を合わせて約70万人になりました。給与額も上がっているので企業の拠出も増え、年1500億円くらいになっているのではないでしょうか。

このまま、年間20~30万人ペースで特定技能資格者と技能実習生が増えていき、さらに留学生まで厚生年金の対象に加われば、帰国前提で就労する外国人は、近い将来300万人にもなるでしょう。そうすると、企業の年金拠出額も、年間6000億円にもなる!

このお金を、果たして「日本の年金受給者のために使う」ことは、本来の趣旨に反しないか。そうした議論がじきに沸き起こるに違いありません。

そう、そこで「日本の年金会計に繰り入れる分」だけでなく、「就労外国人のために費消する分」への分配が必然となっていくでしょう。ここに、就労外国人向けの大きなサイフができあがります。この大規模予算をもとに、外国人材支援を進めていく。これが、日本人の懐を痛めずにお金を生み出すサイクルとなります。

それは、たとえば生活保護費の補填や、強制送還・収容関連への拠出、不法外国人の監視などといった守りの部分だけでなく、世界中で日本を輝かせるための、「攻め」にも大いに活用できるでしょう。


『外国人急増、日本はどうなる?』
外国人急増、日本はどうなる?
 海老原嗣生
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シリーズ第3回:外国人の派遣社員39.9万人は「異常な数」...ビザ別に見ると分かる就労制度の抜け穴・問題点


[筆者]
海老原嗣生(えびはら・つぐお)
サッチモ代表社員。大正大学表現学部客員教授。1964年東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人 事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて雑誌「Works」編集長を務め、2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。『エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載、テレビ朝日系でドラマ化)の主人公、海老沢康生のモデルでもある。近著『静かな退職という働き方』(PHP新書)が各方面で話題を呼んでいる。

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