【コメ高騰】ブランド米が氾濫し、「コメ不足」が弁当・惣菜に大打撃を与えている理由
農水省の需要予測が間違っていた
「コメが高く買われるしくみをつくると、選挙の一票に結びつきやすいんだ。もともとコメに興味のなかった知事が、選挙の一票になると聞いて、目の色を変えた県もある」(61ページより)
市場のニーズがどうであれ、政治的な事情が優先されているということ。そうやって消費に結びつく可能性の低いブランド米を漫然と作り続けた結果、需要の大きな業務用米が不足してしまったわけである。本末転倒もいいところだ。
しかも本書によれば解決の糸口はなく、業務用米はより逼迫しているようだ。
政府が2025年3月から放出した備蓄米にしても、小売りを介して消費者に届けることを念頭に置いたものだ。中食や外食のコメがどうなっているかは、政権や農林水産省にとって、二の次、三の次である。(61ページより)
農林水産省は、コメの需要は毎年10トンのペースで減っていると決めてかかるも、需要を増やせる可能性を検討してこなかった。だが2024年夏のコメ不足の時点で、その前提が誤っていたことが明らかになった。
農林水産省は毎年、独自の計算で推測した翌年の需要を踏まえて「適正生産量」を算出し、生産量がこれを超えないよう都道府県を介して産地に促す。2023年産のそれを669万トンに設定していた。
ところが、農家の高齢化や生産意欲の減退で作付けが減り、猛暑で収量が下がったため、2023年産米の現実の生産量は661万トンまで落ち込んでしまう。
かたや需要量は705万トンと、農林水産省の予想を30万トン超上回った。(62ページより)





