「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税」...なぜ他国には真似できない?
スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。写真はオスロの国会議事堂前。8月26日、オスロで撮影(2025年 ロイター/Tom Little)
スイスのルツェルンにある湖畔の別荘でくつろぎながら、ボルガー・ボルゲンハウグさんは、孫たちや晴れた夏の夜に漂う北欧の海の香りを懐かしむ。
大工から不動産王に上り詰めた同氏は、これはノルウェーの強化された富裕税から逃れるために払う代償だと語る。富裕税は毎年課せられる税金で、世界でも屈指の平等社会を支えてきた一方で、何百人もの億万長者を国外に流出させてきた。
「ノルウェーの政治情勢は企業経営者にとってますます敵対的になっている」。2022年に国を離れた同氏はそう語る。
ノルウェーの富裕税の歴史は、1892年までさかのぼる。他人の納税申告書も閲覧できる透明性の文化もあって、ノルウェーは富裕層への課税強化をめぐる経験が、ほかの国よりはるかに長い。
そのモデルは、同様の施策の導入を検討している英国、フランス、イタリアといった国々や、ニューヨークのような都市に、一つの教訓を提供している。つまり、富裕税は一部の富裕層を国外へ追いやることになるが、十分広範囲に課税すれば、価値ある税収を得られるということだ。
勢いを増す富裕層の流出
この税は、労働党が政権を維持した9月のノルウェー総選挙における決定的な争点となった。同党はこれまで、この税率を引き上げ、出国の条件を厳しくしていた。
富裕税は個人の純資産にかかる。純資産が176万クローネ(約2715万円)から2070万クローネ(約3億1220万円)までの部分には、税率1%がかかる。2022年以降、それ以上の資産には1.1%を課すようになった。23年には、67万1639人が富裕税を納めた。国民のおよそ12%にあたる。
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