トランプ、利下げの遅れではなく関税ショック全体のツケをパウエルに押しつけて自分は逃げ切る算段
Former Treasury Secretary Says Trump Is Trying to 'Scapegoat' Jerome Powell
7月25日には、トランプが世界の90か国以上を対象に10〜41%の関税を課す大統領令に署名したことを受けて、株式市場が急落した。
同日に発表された7月の雇用統計では、就業者数の増加が7万3000人にとどまり、ダウ・ジョーンズが予測していた10万人を大きく下回った。加えて、5月と6月の雇用統計も大幅に下方修正され、両月の成長は極めて弱かったことが明らかになった。
その後トランプは、労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を解任し、統計結果を「政治的目的」で不正に操作されたと非難した。
ビル・クリントン政権およびバラク・オバマ政権で要職を務めたサマーズは、経済の失速が続いた場合、トランプは局長だけでなくパウエルをもスケープゴートにしようとしている可能性があると指摘した。パウエルはトランプ自身が大統領1期目で議長に指名したのだが。
「FRBを政治的に攻撃するのは、やぶへびのゲームだ」とサマーズは語った。「FRBはそんなことには耳を貸さない。だからこれで短期金利が変わることはない。しかし市場は耳を貸す。そして長期金利が上昇し、住宅購入のコストが上がる。トランプの介入はむしろ経済に打撃を与えており、助けになっていない」