米輸入企業がトランプ関税対策で殺到、利用料金が急騰する「保税倉庫」とは

5月21日、中国から米国に商品を輸入する企業は、実際に商品を販売するまでトランプ米大統領の関税を支払わずに保管しておけるよう、「保税倉庫」の確保を急いでいる。写真は「保税倉庫」扱いになっているフロリダ州ベニスのコンテナ保管施設で20日撮影(2025年 ロイター/Octavio Jones)
中国から米国に商品を輸入する企業は、実際に商品を販売するまでトランプ米大統領の関税を支払わずに保管しておけるよう、「保税倉庫」の確保を急いでいる。
保税倉庫は、関税を直ちに払うことなく輸入品を保管しておける倉庫で、米国には現在1700以上ある。中国からの輸入品には現在30%の関税が課されているが、保税倉庫から商品が出荷された時点で関税を支払えばよい仕組みになっている。このため、貿易政策が極めて不安定な現在、企業はより効果的な資金管理が可能になる。
一部の企業にとって保税倉庫の確保は、トランプ政権による関税引き上げが一時的に終わるとの予想に基づく賭けだ。
業界関係者4人によると、保税倉庫の多くは現在満杯で、利用料金は急騰。企業は米税関・国境取締局(CBP)に保税スペースの拡大を申請している。
物流企業LVK・ロジスティクスのマギー・バーネット最高経営責任者(CEO)は、「関税対応」としてユタ州の倉庫を保税化するための手続きを進めていると明かした。手続きには3―4カ月かかる見込みだという。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのサプライチェーン研究チームを率いるクリス・ロジャース氏は「ほぼどこでも保税化は可能だ。資金と時間がかかるが、大手企業で関税が長期化すると見込む場合、既存のスペースを保税倉庫に転換できる」と語った。