最新記事
ドル

「強すぎたドル」がさらに下落?...「格下げ」で投資家は慎重姿勢に転換

2025年5月20日(火)13時03分
ドル

5月19日、 貿易に関する不透明感や膨らみ続ける米政府債務、さらに米経済の例外的な強さに対する確信の弱まりが、米国資産に重圧となり、ドルにもその影響が及んでいる。写真は米ドル紙幣。バンコクで2023年1月撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)

貿易に関する不透明感や膨らみ続ける米政府債務、さらに米経済の例外的な強さに対する確信の弱まりが、米国資産に重圧となり、ドルにもその影響が及んでいる。ドルは割高水準からの修正が進み、投資家はさらなる下落余地を見込む。

トランプ米政権が今年、強烈な関税措置を打ち出すと、投資家は長年にわたって堅調な値動きを続けていた米国資産の保有削減に動いた。米中の貿易戦争「休戦」に伴って、ドルはしばらく落ち着く局面があったものの、ムーディーズが米国のソブリン格付けを引き下げたことでドル売り圧力は再び高まった。


 

決済会社コンベラの首席FX・マクロ・ストラテジストを務めるジョージ・ベッセー氏は「(ドルは)純粋にバリュエーションの観点から一段と下落する余地が多大にある」と述べ、ムーディーズの格下げで「米国売り」が再燃したと付け加えた。

主要通貨に対するドル指数は1月の高値からの下落率が最大10.6%を記録した。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、投機筋による足元のドル売り持ちは173億2000万ドルと、2023年7月以降の最大規模に迫っている。

こうしたドルの弱気ムードが漂う背景として、歴史的な高水準で取引されてきたという状況が挙げられる。1月のドル指数は過去20年平均の90.1から22%も上振れ。現在でも過去20年平均に比べて約10%も高く、大幅な下げ余地が存在する。

例えばさらに10%下がれば、第1次トランプ政権下での最安値圏に沈むことになる。

展覧会
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米スノーフレイクが通期売上高見通し引き上げ、データ

ワールド

ガザ飢饉は「人災」、国連安保理が声明 米は不参加

ビジネス

エヌビディア、売上高見通しが予想上回る 中国巡る不

ビジネス

米国株式市場=続伸、S&P最高値 エヌビディア決算
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中