宮司の6割超が年収300万円未満...コンビニより多い神社の持続可能性を問う

2025年5月12日(月)09時55分
田川 伊吹 (病厄除守護神 廣田神社 第17代宮司)*PRESIDENT Onlineからの転載

コストがかかる以上、利益は必要だが...

「神社がお金儲けをしていいの?」

こんな疑問を投げかけられることがあります。

神社のような宗教法人がお金を稼ごうとすると、「人々の幸福のため」「平和な社会をつくるため」といった理念は参拝者からお金を巻き上げるためのウソのように思われてしまうのでしょう。病院や学校なども同じような目で見られがちです。


ただし、当然ながらどんな法人も利益がなくては、経営が成り立ちません。何かしら事業を行えば、人件費、原材料費、家賃、光熱費など、必ずコストはかかるからです。

神社であれば、その建物を維持したり、季節ごとにあるお祭りを行ったりするにもお金が必要になります。

廣田神社の場合、1945年の青森大空襲でほとんどの建物が焼失し、現在の社殿は1972年に再建されたものです。すでに半世紀以上が経ち、あちこち傷んできているので、修復が必要になっています。

突然、建物が壊れて再建が必要になることもあり、その都度、多額の費用がかかります。

建物や境内の整備は、神様が安らかにお鎮まりいただくために不可欠ですが、それだけではありません。傷んだ部分を放置しておくと、不思議なことに神社の清浄な空気は失われ、人々の足は遠のくようになります。

人々の「祈りの場」を守るために、境内は常にきれいにしておかなければならないのです。

「神社経営」と「企業経営」の共通点

神社を守っていくには、理念も、利益も両方必要です。

どんなにすばらしい理念があっても、利益がなければ実現不可能ですから、ただの机上の空論になってしまいます。反対に利益はあっても、そこに理念がなければ、氏子崇敬者や働く人からは信用されません。

理念と利益を両立させて初めて、神社を維持・発展させられます。これは、一般企業も同じでしょう。


一日、一年、一生を共にする廣田神社

・ 一日
日常の中の祈り。神棚やお神札に手を合わせ、お守りを身につける習慣とする。
・ 一年
年中行事や祭りへの参加や参拝を慣習とする。
・ 一生
人生儀礼を家族の伝統とする。

そのために重要なのは、利益の生み方と使い方です。当たり前ですが、理念と利益を両立するには、理念に沿ったお金の稼ぎ方をしなければなりません。

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