日本全体の自殺者数が減る中で、10代女子の件数が急増している
2010年代半ば以降、子どもにもスマホ・SNSが普及して有害情報との接触が増えた(写真はイメージ画像) photoAC
<スマホやSNSの普及で子どもが有害情報に接しやすくなっていることが要因か>
2025年版の『自殺対策白書』が公表された。昨年の自殺者は2万320人で、統計開始以来2番目に低い数値となった。年齢別に見ても、ほとんどの層で自殺者は減少している。しかし子どもだけは別で、昨年の小・中・高校生の自殺者は629人と、統計のある1980年以降で最多となった。
国民全体の自殺者が減る中で、子どもの自殺だけが増えている。こうした傾向はここ数年続いていて、白書でも子ども・若者の自殺の現状分析に多くのページが割かれている。子どもの自殺防止にも力が入れられており、長期休業明けに重点を置いた見守り活動や、悩みを1人で抱え込まないよう「SOSの出し方教育」などが行われている。また相談窓口を設置して待つだけでなく、支援者の側から寄り添っていく「アウトリーチ」の姿勢も打ち出されている。
だが子どもの自殺は増え続けていて、特に近年の増加が著しい。男子と女子に分けると、驚くべき傾向が浮かび上がる。<図1>は、10代の自殺者数の推移を男女別に描いたグラフだ。

男女とも波動を描いて推移しているが、注目すべきなのは、2016年以降において女子の自殺者が急増していることだ。
10代の自殺者は2016年から2024年にかけて501人から759人に増えたのだが、増分258人のうち248人が女子となっている。憂慮されている近年の子どもの自殺増加は、もっぱら女子によるものと言っていい。2024年では、女子の自殺者数が男子を上回っている。





