最新記事
BOOKS

唯一無二の文章を書くために注意する1つのポイント...「としたもんだ表現」のバイアス【新聞記者の文章術】

2024年9月11日(水)12時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
秋空とコスモス

小林秀雄の問い:美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない/jeonsango-pixabay

<「お決まりの言い回し」は「思い込み」から生まれる。先入観や偏見から自由になり、オリジナルの言葉で伝えるには?>

朝日新聞記者で作家の近藤康太郎氏のもとには、文章力を磨くために若い記者が集まる。私にしか書けないものを、書く。プロに限ったことではない。誰もが文章でコミュニケーションをとる今日、「ちょっといい」と思われる文章を書くためにはどうするか。

近藤氏が、「独自の視点」を得る訓練で必ず最初に教えるのが「常套句をなくす」というテクニックだ。常套句は文章を凡庸にするだけでなく、人の思考を奪い、さらには世界を息苦しくするからだ。どういうことか。「いい文章」の定義からはじまり、プロにも通用する25の文章技術を解説する『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス)より取り上げる。

※本記事は前後編の後編(前編:朝日新聞名文記者が「いい文章」を書きたい新人に最初に必ず教えること【ベストセラー文章術】

◇ ◇ ◇

どこまでも自分の目に忠実に書け


美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない。 (「当麻」)

そう書いたのは小林秀雄だ。短い随筆なのでライター志望者は必読だ。

ある門番や馬車の姿を、ほかのすべての門番、馬車とどう違うのか。それをわたしに描いて、わからせてくれ。フランスの作家フロベールは、弟子のモーパッサンに、そう教えた。


問題は表現しようと思うすべてのものを、だれからも見られずいわれもしなかった面を発見するようになるまで、十分長くまた十分の注意をこめて眺めることである。どんなもののなかにも、まだ探求されてない部分というものがある。 (「ピエールとジャン」)

これは、わたしの言葉で言い表すと「正確に、どこまでも自分の目に忠実に書け」ということになる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インド、レアアースの日本向け輸出停止も 国内確保優

ビジネス

中国新規銀行融資、5月予想下回る 貿易摩擦が重荷

ワールド

石破首相、参院選公約に国民1人2万円給付を表明 子

ワールド

トランプ氏、イランに核合意促す 「虐殺終わらせる時
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中