最新記事
キャリア

「自分らしく働く」を諦めないで! 自分の「やりたい仕事」と「強み」は、こうすれば見つかる

2024年3月5日(火)19時03分
flier編集部

創業の原動力になった、「働き方の未来」を描いたあの名著

──田中さんのキャリアや価値観に影響を与えた本についてお聞かせいただけますか。

リンダ・グラットンの『ワーク・シフト』です。過去20年間の生き方や働き方の常識が大きく崩れつつあることを教えてくれた一冊です。この本が出た2012年当時はちょうど、日本の働き方に課題を感じて、共同創業者となる仲間たちと起業を考えはじめた時期。そんなときに話題になった『ワーク・シフト』が非常に面白くて。彼女たちと本の感想をシェアしながら「こういう世界をつくりたいよね」と語り合いました。

印象的だったのは、世界各地からリモートで、プロジェクトベースで働く姿が具体的に描写されていたこと。当時は働き方改革の前で、長時間オフィスで働くことがよいという価値観が一般的。私も周囲の人もそこに息苦しさを感じていたし、ワークとライフの両立に対して焦りや葛藤を抱いていました。

だから、本書の描く未来図に衝撃を受けましたし、「時間や場所にとらわれない働き方」を広めたいという思いが強まりましたね。フリーランスで働きたい女性と企業とをつないで仕事のマッチングをするという、創業初期からのサービスにもつながりました。『ワーク・シフト』は、Waris立ち上げの原動力になった本なんです。

ワーク・シフト
 著者:リンダ・グラットン
 翻訳:池村千秋
 出版社:プレジデント社
 要約を読む

──最後に、田中さんの今後のビジョンについてお聞かせください。

ライフステージの変化に応じて、多様な働き方を柔軟に行き来できる社会をつくりたいと考えています。働く期間が長期化しているので、会社員として一社に勤め続けること自体が珍しくなっていくと思うんですね。転職やフリーランスになる期間もあれば、「サバティカル」という職務を離れた長期休暇をとるケースもある。このように主体的にキャリアを移行することを、Warisでは「キャリアシフト」と表現しています。

最近、「フリーランスだったが50代で会社員になった」という方に立て続けに3名お会いして、そういうのはとてもいいなと思ったんです。もう「35歳転職限界説」は過去のもの。売り手市場も相まって、40代、50代でも再就職や転職をする方は増えています。だから、挑戦したいというご本人の意思があれば、色々な可能性が広がっているのです。

そんななかで、Warisで行ってきた仕事のマッチングや成長を支援するリスキリングの事業だけでなく、多様な選択肢をお伝えしながら、一人ひとりのキャリアシフトを支援していけたらと思います。


240305fl_tpf02.jpg

田中美和(たなか みわ)

株式会社Waris共同代表/一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事/国家資格キャリアコンサルタント

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、日経BPで編集記者として働く女性向け情報誌「日経ウーマン」を担当。取材・調査を通じて接した働く女性の声はのべ3万以上。女性が生き生き働き続けるためのサポートを行うべく独立し、2013年、多様な生き方・働き方を実現する人材サービス企業Warisを創業し共同代表に(現在ベネッセグループ入り)。フリーランス女性と企業との仕事のマッチングやリスキリングによる女性の就労支援に取り組む。最近では女性役員紹介事業を通じて意思決定層の多様性推進にも尽力。X(旧Twitter):@Miwa_Tanaka57

◇ ◇ ◇


flier編集部

本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。

通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。

flier_logo_nwj01.jpg

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・イラン、オマーンで第4回核協議 ウラン濃縮で隔

ビジネス

米中貿易協議で「大きな進展」、12日に声明 協議枠

ビジネス

米中貿易協議「進展」、投資家は歓迎 抜本的解決には

ビジネス

中国乗用車販売、4月は3カ月連続で増加 買い替え補
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 6
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中