最新記事

教育

「能力の差」はもう重要ではない...AIが進化した今、社会と乖離してしまった「教育」はどうあるべきか?

2023年6月16日(金)17時32分
flier編集部
ロボットを作る子供

JGalione/iStock

<なぜ好きなことだけして生きてはいけない? 『冒険の書』著者・孫泰蔵に聞く、これからの時代に必要な「アンラーニング」とは>

学校の勉強はなぜつまらないのか? なぜ好きなことだけして生きていけないのか? こうした胸に突き刺さる問いを投げかけるのが、『冒険の書』(日経BP)です。著者は、連続起業家であり多くのAIスタートアップと関わってきた孫泰蔵さん。最先端のAIにふれ、今の学校教育が社会と乖離していることに危機感を覚え、本書の執筆を決意したといいます。本書は、教育や学校のルーツを辿ることで、学びの「当たり前」を問い直す一冊でもあります。AIの進化がめざましい時代に、私たちは、何をどのように学んだらいいのか? フライヤー代表取締役CEO・大賀康史とともに語り尽くします。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

「現代人の病」から抜け出すための一歩は、問いを立て続けること

大賀康史(以下、大賀):まずは、孫泰蔵さんが『冒険の書』にどんなメッセージを込めたのかを話していただけますか。

孫泰蔵さん(以下、孫):一番伝えたかったのは、「問いを立てること」の大切さ。僕たちは今まで正解を求められる教育を受けてきて、「短期的にすごい成果を出さなければ」という、メリトクラシーのプレッシャーが常にあります。メリトクラシーとは、人はみな平等で、才能や努力によって誰もが出世できるという能力信仰のこと。この能力信仰こそ、尽きることのない不安を醸成し、「現代人の病」とでも言うべきものをつくり出す要因になっていると思うんですよね。

そこから抜け出すためには、「問いを立て続ける」ことが大事ではないか。このメッセージが本書の根幹にあります。これはアンラーニング(学びほぐし)とも言い換えられます。

問い続けていると答えがほしくなりますが、すぐに答えらしきものに飛びつくのではなく、行き詰まったら問いをずらしたり、分解したりしてみる。そうした模索を経て行動を起こすと見えてくる世界があり、やがて「核心を突いた問い」にたどり着く。そうすれば、あとで振り返ったときには、「なぜ、あんな悩みを抱えていたんだろう?」と思うくらい不安が解消され、不安を構造的に生み出すメリトクラシーを乗り越えられるのではと思うんです。

その意味で、本書は、僕がどんな問いを立てて、探究してきたのかという長い旅路の記録です。同じような疑問をもった人たちの旅の参考に少しでもなればという思いを込めました。

冒険の書
 著者:孫泰蔵
 挿絵:あけたらしろめ
 出版社:日経BP
 要約を読む
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

ソニーのブラビアが30%オフ【アマゾン タイムセール(10月4日)】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アルメニア首相、辞任を否定 「問題解決されず」

ビジネス

米ADP民間雇用、9月8.9万人増と予想下回る 2

ビジネス

米ISM非製造業指数、9月は53.6に低下 新規受

ビジネス

英バークレイズがレイオフに着手、投資銀行部門の3%

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:2023年の大谷翔平

特集:2023年の大谷翔平

2023年10月10日/2023年10月17日号(10/ 3発売)

WBCは劇的優勝、ケガで無念の離脱、そして日本人初本塁打王へ。激動の大谷イヤーを現地発の記事と写真で振り返る

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    複数のドローンがロシア西部「ミサイル工場」を攻撃、その閃光と爆音を捉えた映像

  • 2

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 3

    中国・秦剛前外相の失脚は本当に女性関係のせいだったのか?

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    「国慶節」ではしゃぐ中国を後目に、海外では中国建…

  • 6

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 7

    再契約か新天地か、注目される大谷翔平「争奪戦」の…

  • 8

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 9

    中国不動産バブル崩壊で地方役人は戦々恐々

  • 10

    処理水批判の中国から日本に観光客は来て...いる? …

  • 1

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    複数のドローンがロシア西部「ミサイル工場」を攻撃、その閃光と爆音を捉えた映像

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 6

    エリザベス女王も大絶賛した、キャサリン妃の「美髪…

  • 7

    ワグネル傭兵が搭乗か? マリの空港で大型輸送機が…

  • 8

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 9

    NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシ…

  • 10

    ウクライナ「戦況」が変わる? ゼレンスキーが欲しが…

  • 1

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 2

    イーロン・マスクからスターリンクを買収することに決めました(パックン)

  • 3

    【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

  • 4

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 5

    コンプライアンス専門家が読み解く、ジャニーズ事務…

  • 6

    「児童ポルノだ」「未成年なのに」 韓国の大人気女性…

  • 7

    <動画>ウクライナのために戦うアメリカ人志願兵部…

  • 8

    「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシ…

  • 9

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 10

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中