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新入社員がどんどん辞める会社に共通する「上司あるある」 価値観の押し付けで若手のやる気が低下

2022年4月11日(月)12時43分
斉藤 徹(起業家、経営学者、株式会社hint代表、株式会社ループス・コミュニケーションズ代表) *PRESIDENT Onlineからの転載

成長を阻む組織の4原則

仕事を専門化すると、個人の能力は一部しか活用できませんし、命令や指揮、管理によって上位の人間に従属的になり、本来持っていた自律性を失ってしまいます。

その結果、組織内での自己実現の達成が困難となり、欲求不満や葛藤が募ってゆきます。組織の「歯車」になったと感じてしまうのです。

まさに、科学的管理法による効率化の弊害です。

その結果、組織を去ったり、自分の心を守るために順応したり、無関心になり報酬にのみ価値をおくなど働きがいを見失ったりしてしまいます。すると管理者はより圧迫するようになり、本人はさらに受け身になってしまう。これが「組織の罠」と呼ばれるものです。

そして、「組織」というシステムだけでなく、組織をリードする「人間」の思考にもメンバーの自律を奪う特性があると、エドワード・デシは言及しました。

成果を求められるほど、成果を落としてしまう

成果へのプレッシャーが人の行動をどのように変容させるのかを確かめるためにデシが行なった、ある実験があります。

実験では、教師役の被験者に事前に問題のヒントと回答を伝えた上で、2つのグループにわけ、ひとつのグループだけに「教師として、生徒に高い水準の成績を収めさせることがあなたの責任です」と伝えました。

すると、高成績を求められた被験者は、何も伝えられなかったグループと比較して、話す時間が2倍、命令的な話(すべき、しなくちゃなどを含む言葉)が3倍、管理的な話も3倍していたのです。

デジの実験

圧力をかけられるほど、教師は管理的になり、生徒の内発的動機や創造性を低下させていました。

成果を求められるほど、成果を落としてしまう。意思決定者がこの「責任感の罠」にはまると、コントロール欲求が高まり、より直接的な動機づけに走ってしまいます。

そして時間とともにエスカレートし、規律が増え、それがメンバーの自律性を殺し、受け身の姿勢を生み出してしまいます。

組織のルールは最小限にしたほうがいい

メンバーが本来もっている「自ら考え、行動したい」という意欲を削がないためには、「規律を最小化する」ことが効果的です。

歴史のある組織、大きな組織ほど、無意味で不合理な規律や手続き、習慣が多く存在します。まずは、そういった組織の「しなくちゃ」を徹底的に断捨離し、複雑なものを徹底的なシンプルにすることからはじめましょう。

そのためには、「ゼロベース思考」「ダブルループ学習」「透明のチカラ」の3つがポイントになります。

「ゼロベース思考」は、過去の経験から積み上げた前提知識や思い込みをいったんゼロにして物事を考えることです。期や年度など一定のサイクルで過去の資産をクリアにし、「利用者に提供する価値」に集中して、システムを極限までシンプルに一新させる意識と機能を持ちましょう。

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