SWIFT排除の制裁、ロシア経済に壊滅的打撃となるか
ロシアは、SWIFTに代わる独自の決済網「SPFS」を構築している。中銀によると、2020年時点でロシア国内の決済の約2割に当たる約200万件のメッセージがやり取りされており、2023年にはこの割合を3割に増やしたい意向だ。
だが、SPFSはメッセージのサイズに制限があり、営業日にしか稼働しないため、外国銀行の加盟は進んでいない。
金融版の核兵器
ロシアの銀行をSWIFTから排除することは、苦渋の決断だった。
過去数日間、ウクライナは西側諸国に排除を要請し、英国などの国々は賛意を示したが、ドイツなどの国々は自国の経済や企業への影響を懸念していた。
フランスのルメール経済・財務相は25日、SWIFTからのロシア排除は「金融版の核兵器」だと発言。「あなたがもし核兵器を手にしていたら、使う前によく考えるはずだ」と記者団に述べた。
しかし、ロシア軍がウクライナの首都キエフへの攻撃を開始し、外交的解決の希望が薄れると、潮目は変化した。
ドイツは26日に態度を軟化させ、「巻き添え被害」の抑制に務めながらロシア銀をSWIFTから排除する方法を探る姿勢を示した。
金融情報の訓練に携わるマンチェスター氏によると、一部の銀行だけを排除の対象とした場合、ロシアの銀行は制裁対象から外れた銀行や多国籍のグローバル行を介して国際金融システムにアクセスする「ネスティング」と呼ばれる迂回手段を使うとみられる。
グローバル行は、自行が支援している取引が西側の制裁措置に抵触していないことを確かめる必要が生じ、コンプライアンス(法令順守)上、頭の痛い問題を抱えることになる。
マンチェスター氏は25日、あるグローバル行の金融犯罪部門から相談を受けた。こうした銀行は、うっかり制裁に抵触してしまうと重い罰金を科される恐れがあるため「最新の動向を理解するための勉強に余念がない」とマンチェスター氏は述べた。
(Catherine Belton記者、 Paritosh Bansal記者、 Megan Davies記者)

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