最新記事

経営

「有給休暇」のよくある誤解と正解

2021年12月23日(木)20時00分
庄司ライカ ※経営ノウハウの泉より転載
就業中

Nattakorn Maneerat-iStock.

<2019年4月に義務化された有給休暇の取得。すべての働くべき人が知っておくべき内容をまとめた>

社員をもつ企業であれば、身近な存在な有給休暇。しかし、法改正にともなう対応や、多様な働き方にどう適用するかといった不安もあるのではないでしょうか?

本記事では、2019年4月に改正に伴って義務化された有給休暇を取得について解説。有給休暇についてよくある誤解や質問についてもまとめました。経営者の方はもちろん、すべての働く方に知っておいていただきたい内容ですので、ご自身の認識とあっているか確認してみてください。

有給休暇の取得義務化とは?

■そもそも有給休暇とは?

年次有給休暇は、雇入れの日から6ヶ月継続して働くこと、その間の全労働日の8割以上出勤と、2つの条件をクリアした場合に付与されます。ここでいう全労働日とは所定労働日、すなわち、雇用契約上の労働義務のある日をいいます。営業日ではありません。

たとえば、月曜から金曜の週5日勤務の雇用契約ならば、それが所定労働日となり、週2日勤務の雇用契約なら、それが所定労働日となります。これは労働基準法に定められた最低基準なので、これより労働者に有利な制度を会社独自で設けることは全く問題ありません。

なお、2回目以降の年次有給休暇付与については、付与日から1年経過ごとに付与されます。その際には、その1年間の出勤率が8割以上という条件を満たす必要があります。

そして、年次有給休暇は、付与されてから2年経つとその権利が消えます。したがって、入社6ヶ月後に与えられた年次有給休暇は、使わなければ、入社から2年6ヶ月経つと消えてしまいます。

■有給休暇の義務化とは?

2019年4月に働き方改革の一環で年次有給休暇制度の法改正がありました。年10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、年5日の年次有給休暇を取得させなければならないというものです。

これは、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどのいわゆる非正規労働者であっても、年10日以上の年次有給休暇が付与されていれば対象となります。実施された法改正についてポイントを挙げていきます。

●ポイント1:年10日以上の年次有給休暇が付与されていればアルバイトも対象
●ポイント2:有給付与日から1年以内に取得させる必要がある
●ポイント3:労働者が自ら取得しない場合、会社側から時季を指定し取得させる必要がある
●ポイント4:会社側が年次有給休暇の時季指定を行う場合、就業規則に記載が必要

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ハマス、新たに人質1人の遺体を引き渡し 攻撃続き停

ワールド

トランプ氏、米国に違法薬物密輸なら「攻撃対象」 コ

ビジネス

米経済、来年は「低インフレ下で成長」=ベセント財務

ビジネス

トランプ氏、次期FRB議長にハセット氏指名の可能性
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止まらない
  • 4
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 5
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 6
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 7
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中