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失敗しても動揺しない「鋼のメンタル」を身につけよ 人生は「偶然のゲーム」、論理的に考えれば想定内

2021年10月17日(日)11時12分
小林 剛(プロ雀士) *東洋経済オンラインからの転載

麻雀も人生も、決断と選択の連続です。運の要素もありますが、よりベストな選択をし続けた者が最終的には勝者になります。ですから、「リスクとリターンを天秤にかけて、より勝利に近づく確率の高い決断を繰り返していく」というのが、勝負事に対する真摯でロジカルな態度といえます。

たまに「安全牌がなくなり、対戦相手が待っているかもしれない牌を切るときって、不安ですか? どんな気持ちで決断しているのですか?」という質問を受けます。安全牌でないならば、振り込んでしまう確率は必ずあります。私はつねに「当たるかもしれない」と覚悟して勝負しているので、不安に思うことはありません。つまり、望ましくない事態であっても、想定の範囲内なのです。

たとえば天和(テンホー、最初の配牌がすでにアガリの形になっている役満)でアガられたとしても、そのことで大騒ぎしても仕方がないでしょう。麻雀とは構造上、そういうことが起こりうるゲームなのですから。

最悪の事態でも予定どおりに行動

手牌に、白と中の字牌が1つずつあったとします。場の状況的にどちらも簡単にそろいそうにないので、どちらかを捨てようとして迷った挙句、白を捨てたとしましょう。その直後にツモった牌が白だったら、あなたはどう思いますか? 一般的には「失敗した! 中を切ればよかった......」と後悔する人が多いでしょう。

でもこれはおかしな思考なのです。最初の白を捨てた時点で、「もし新たに白をツモってきたら捨てる」という次の手も、一定の確率で予定されます。再び白が来ることは想定内であり、同時に「白を捨てる」ことも予定どおりの行動といえます。想定された現象、予定された行動なのに、後悔したり動揺したりすることはまったくの無駄です。

一般社会でも、低確率であれ、考えられる悪い結果というものはあります。偶然それが起こったからといって、ショックを受けたり、いつまでもそれを引きずるのは得策ではありません。

どんなに認めたくない結果でも、それはあくまでも想定内です。どのような結果が起きようとも、それが起こったときに次にどうするか、これを事前にいくつも考えておきましょう。あとは予定どおりに淡々と行動するだけです。

麻雀という不確実なゲームは、人生やビジネスと同じで、たとえベストな判断をしても、結果的に悪い状況に進んでしまうこともありえます。そういう「ゲーム」だと受け入れて、冷静な判断をし続けていきたいものです。

ピンチに動じない思考訓練の方法

麻雀は確率のゲームなので、正解がわかりづらいところがあります。なので、「小林さんならどっちを切りますか?」などと尋ねられたときに「どっちでもいいよ」と答えることは結構あります。

アドバイスするときには、私は「こっちを切ったほうがよい」という答えを出すよりも、「どっちもありうるので、両方のよいところ悪いところを考えてみなさい」と促すようにしています。つまり、それぞれパターンで、根拠の説明を求めるのです。

このとき、考えうる限りの根拠を見つけるのがよいでしょう。メリットとデメリットの根拠をできるだけたくさん考え、両方ありうることを知ったうえでとったアクションならば、デメリットのほうの結果が現れたとしても、それは想定内なので動揺することはありません。

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