最新記事

中国経済

中国市場で不動産会社の社債・株が急落 恒大集団のデフォルト懸念根強く

2021年10月8日(金)17時33分
中国の金融相場

休場明け8日の中国本土市場で、国内不動産会社の社債と株式が急落した。写真は安徽省阜陽市で2015年11月撮影(2021年 ロイター)

休場明け8日の中国本土市場で、国内不動産会社の社債と株式が急落した。不動産大手の中国恒大集団の債務問題が同業者の資金繰りに及ぼし得る悪影響をどのように抑えるかについて、当局は方向性を示しておらず、懸念が払拭されていない。

国慶節(建国記念日)の連休中には、カイサ・グループ(佳兆業集団)、セントラル・チャイナ・リアル・エステート(建業地産)、緑地控股集団の社債が不透明感を理由に売られた。

8日には、中国本土市場で取引されている社債に売りがでた。上海証券取引所は、恒大より規模が小さい不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が4日の期限までに債務を返済できなかったのを受け、傘下のファンタジア・グループ・チャイナの発行した2本の社債の取引を停止した。

DBS銀行のクレジット&外為ストラテジストは「小規模企業のデフォルト(債務不履行)は通常、個別事案と見なされる。しかし、中国の多数の不動産開発業者の流動性が逼迫している状況を踏まえ、市場関係者は、短期的に流動性が健全でも長期債務は持続不能な他の開発業者による自発的デフォルトの兆候なのか見極めようとしている」と述べた。

花様年は7日付の文書で、通常通りの業務を行っており、投資家と緊密に連絡を取っているとした。

中国本土市場では陽光城集団や広州富力地産の社債も軟調となった。

中国奥園集団は8日、12日が償還期限の人民元建て社債の返済資金を口座に移したと発表した。別の社債が午前の取引で7.5%超急落したのを受けた。

中国本土の不動産株も中国恒大を巡る懸念で下落。不動産株指数は後場に1.75%安となった。

中国の規制当局は10月1日から7日までの大型連休中に恒大に関する発言を行っていない。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」は、7日遅くの論説記事で、不動産開発企業の融資を制限する「三条紅線」を当局が堅持しているのは、「中国が不動産バブルを潰し、リスクを低減させることに引き続き軸足を置いている」表れだと論じた。

中国恒大は4日に香港上場株の売買停止を要請しており、投資家は同社からの新たな情報発信を待っている。不動産管理子会社である恒大物業集団も同社株に関するオファーの可能性を理由に売買停止を要請した。

資産売却を決めれば一時的に恒大のキャッシュフローを巡る懸念は和らぐとみられるが、アナリストは、中国恒大や国内の一部同業者の負債額はあまりにも大きいため、すぐに問題は解決はしないだろうと見込んでいる。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米リバースレポの利用枯渇、FRBの量的引き締めは先

ワールド

米連邦緊急事態管理局、職員の新規採用凍結を年末まで

ビジネス

EU、アドテック巡りグーグルに少額の制裁金科す見込

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落し4万2000円割れ、半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 6
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中