最新記事

投資

グッチのバッグからダイソン家電まで...... 中国恒大が派手に販促した資産運用商品の実態とは

2021年9月23日(木)10時18分

2019年、規制当局の取り締まりによってP2Pセクターが崩壊すると、エバーグランデ・ウェルスは個人向けに理財商品を売り始めた。前出の営業担当者と、理財商品を購入した恒大集団の従業員が明らかにした。

投資家を引きつけるため、この営業担当者は昨年のクリスマス商戦で、300万元以上の理財商品を購入した人全員にダイソンの空気清浄器やグッチのハンドバッグといったプレゼントを提供した。

営業担当者が見せてくれた小冊子では、理財商品は「着実なリターンを求める保守的な投資家」にぴったりの固定利付き商品、と位置付けられている。

事実上、恒大の商品

青島市のある建設会社は昨年11月、2種類の金融商品を販売した。1つは利回りが7%、もう1つは7.8―9.5%で、それぞれ1000万元と2000万元を調達する狙い。目論見書には、資金が建設会社の運転資金に充当されると記されていた。

目論見書によると、返済資金は発行体の利益で賄うか、もしくはエバーグランデ・ウェルスを運営する恒大集団の子会社が出すことになっている。発行体が返済できない場合でも、この子会社が元本と利息をカバーすると約束している。

前出の営業担当者の話では、青島市のこの会社は恒大集団のプロジェクトに関わっており、投資家への返済には同社からの支払いを充てる。つまり「事実上、恒大集団の商品だ」。

広東省の理財商品投資家らは、さまざまな政府機関に出した嘆願書で、恒大集団が自社プロジェクトに回すべき資金を不適切に利用し、リスクを十分に開示しなかったと訴えた。

恒大集団の許家印主席が2019年の中国建国70周年式典で堂々と座る姿に惑わされた、とも指摘。嘆願書には「投資家は共産党と政府への愛と信頼から恒大集団を信じ、恒大集団の理財商品を買った」と記されている。

(Zhang Yan記者、Tony Munroe記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い

ビジネス

英建設業PMI、11月は39.4 20年5月以来の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中