最新記事

仮想通貨

ビットコイン急落 仮想通貨全体の時価は一時100兆円吹っ飛ぶ

2021年5月20日(木)09時32分

暗号資産(仮想通貨)のビットコインやイーサが軒並み急落し、3カ月半ぶり安値を更新した。1日としては昨年3月以来の大幅安となる勢い。写真は同日、米ニュージャージー州で撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)

19日の取引で、暗号資産(仮想通貨)のビットコインやイーサが軒並み急落した。暗号資産市場は一時、時価総額で1兆ドル近くが吹き飛んだ。その後下げ幅を縮小したものの、不安定な相場展開は、仮想通貨が主流資産に仲間入りするとの期待に影を落とす可能性がある。

ビットコインは一時30%安、イーサは45%安まで下げを加速したが、仮想通貨への支持で先頭に立ってきた米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と 米資産運用会社アーク・インベストのキャシー・ウッドCEOが改めてビットコインへの支持を示したため、急速に下げ幅を縮めた。

この日は、中国の金融業界団体が18日、金融機関による暗号資産関連サービスの提供を禁止するなど規制を強化したことが売り材料となった。

コインゲッコー・ドット・コムによると、19日午後の早い時間で、暗号資産市場の時価総額は1兆8000億ドル。

ヘッジファンド、グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長は「暗号資産関連株には多くのレバレッジが組み込まれているため、短期的に株式市場に波及するだろう。また、市場は物価上昇が続けば米連邦準備理事会(FRB)の緊急利上げが必要になる可能性があると考えており、インフレ懸念がかなりある」と述べた。

アナリストによると、暗号資産にはインフレヘッジ需要があるとの見方があったが、インフレ懸念が高まる中での相場急落で信ぴょう性が損なわれている。

一方、セントルイス地区連銀のブラード総裁は19日、暗号資産の急落について、「仮想通貨のボラティリティーが極めて高いことは誰もが承知している」とし、現時点では金融システムに対する広範なリスクにはならないと述べた。

マスク氏はこの日、ツイッターに「ダイアモンドハンド」の絵文字を投稿。SNS(交流サイト)上で、資産を保有し続ける価値があると表現するのに使われている。

同氏が先週、テスラ車の購入でビットコインを使った支払いを認めない方針を示したことを受け、ビットコインは急落。マスク氏が17日に「テスラはビットコインを売却していない」と述べたことで、相場は持ち直していた。

ビットコインは一時、3万0066ドルと、3カ月半ぶりの安値を記録。直近は13%安の3万7323ドル。4月14日に記録した最高値の6万4895ドルからは40%程度下げた。

仮想通貨コンソーシアム、パンクソラのギャビン・スミスCEOは「ビットコインの急落は市場にショックをもたらすものではない」と指摘。「ビットコインのように過去1年に大きく上昇していた資産は、一部投資家が利益を確定するのに伴い調整すると想定可能だ」と述べた。

イーサも一時、1月終盤以来の安値を付け、その後は22.5%安の2620ドルで推移。

コインゲッコーによると、ドージコインも約26%安の0.35ドル。

ボラティリティーの高まりを受け、暗号資産交換所最大手コインベース・グローバルとバイナンスは一部サービスの問題に言及。コインベースの株価は5.9%安で引けた。

ビットコインがチャート上の主要な節目である4万ドルを割り込んだことから、市場では一段の下落を予想する向きもある。

一方、アークのウッドCEOはブルームバーグとのインタビューで、ビットコインが50万ドルに上昇するとの予想を堅持した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国の年央最大商戦「618」、盛り上がりを欠いたま

ワールド

財政危機のバチカン、新教皇レオ14世の動画で献金呼

ビジネス

焦点:FRBは慎重姿勢、関税リスク巡る市場の不安消

ビジネス

経済・金融見通し、極めて不確実 スイス中銀が警告
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中