最新記事

アメリカ経済

バイデン、約200兆円規模の追加経済対策案 期待と財源への不安が交錯

2021年1月15日(金)11時18分

経済回復後のインフレ懸念も

一方、国債利回り上昇は、いったん経済が回復した後はインフレが起きるのではないかという懸念をかきたてる役割を果たしている。

シュワブ・センター・フォー・ファイナンシャル・リサーチのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディ・フレデリック氏は、今回の経済対策案は市場の想定範囲内で、この先にインフラ投資などに注力する対策がさらに出てくる公算が大きいと予想。その上で、気がかりな点として新型コロナウイルスワクチンの接種が予想ほど進んでいない状況を挙げた。

フレデリック氏は、米国で免疫投与の取り組みが思うようにはかどっていないことは経済活動再開を遅らせ、さらなる刺激策がより求められるようになる一方で、追加財政支出の結果として企業と投資家が年内に増税に直面する可能性が高いとみている。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのグローバル市場戦略責任者エスティ・ドウェク氏も、次期政権が法人税率と所得税率の引き上げを推進する可能性が投資家に織り込まれるにつれて、今年はいずれ株価が変調を来すと予想する。ただ、インフレ上昇は懸念されているものの、自分はそれがすぐ起きるとはみていないとした上で、今は長期的な不安要素が後回しにされ、目先必要なことが優先されている状況だと説明した。

(David Randall記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・前代未聞の議会乱入で現実となったアメリカの「権力の空白」
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 韓国新大統領
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月10日号(6月3日発売)は「韓国新大統領」特集。出直し大統領選を制する「政策なきポピュリスト」李在明の多難な前途――執筆:木村 幹(神戸大大学院教授)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、政策金利を2.75%に据え置き 先行き

ワールド

米ロ首脳が電話会談、ウクライナによるドローン攻撃な

ビジネス

米企業、大半が価格転嫁でトランプ関税に対応=NY連

ワールド

プーチン氏「ウクライナは和平望まず」、直接協議直前
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 8
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 9
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 10
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中