最新記事

日本経済

首都圏への緊急事態宣言、1カ月間ならGDP0.7%前後下押し エコノミスト試算

2021年1月4日(月)18時36分

菅義偉首相は4日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、緊急事態宣言の再出検討を表明した。1都3県の知事に押された格好だが、経済活動との両立を訴えてきた菅首相は限定的な措置になると強調した。写真は11月27日、東京都内の繁華街で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

菅義偉首相は4日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、緊急事態宣言の再出検討を表明した。1都3県の知事に押された格好だが、経済活動との両立を訴えてきた菅首相は限定的な措置になると強調。首都圏を対象に1カ月程度でとどまった場合、経済への影響も限られ、国内総生産(GDP)を0.5─0.7%押し下げる程度とエコノミストらは試算する。

安倍晋三政権下で昨春実施された緊急事態宣言は期間が最終的に2カ月弱、対象も当初の7都道府県が途中から全国に拡大された。政府は映画館や百貨店、学校の休校も含め、昼間も行動制限をかけた。それに対し、今回は現在のところ、飲食店の閉店時間を午後8時に前倒し、酒類提供を午後7時までにするなど、夜の時間短縮などに絞った規制が中心になるとみられる。共同通信は、宣言の期間を9日から1カ月程度を軸に調整していると報じた。

SMBC日興証券の牧野潤一・チーフエコノミストは、今回の内需落込み幅は最大で年間GDP比0.7%程度と試算。同3.4%だった昨春に比べて5分の1程度にとどまるとする。第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは今回、最大0.5%程度の落込みにとどまるとみている。

それでも、最も影響を受けるとみられる飲食や旅行業界では不安の声が広がっている。ある居酒屋チェーンの広報は、「感染者数の減少とともに客足も戻ってきていたため、年末年始に期待していた。しかし、感染者数の再拡大で客足は鈍く、期待外れ。さらに緊急事態宣言となればかなり厳しい」と話す。

大手旅行会社は「GOTOトラベル停止の延長の場合は、多少なりキャンセルなどの影響はあると思う。売上が大幅に落ち込んだ去年は助成金では足りなかった。今後もいただけるのであればありがたい」と支援の必要性を訴える。

昨春と同様、対象が全国に拡大された場合はインパクトが一段と大きくなる。BNPパリバ証券の河野 龍太郎・チーフエコノミストは、1─3月期のGDPが前期比年率マイナス10%程度と2桁の落ち込みとなる可能性があるとみている。もっとも、これも年率マイナス29.2%となった昨年4─6月ほどにはならない見通しだ。当時は世界的な経済活動の低下により輸出に大きな影響が出たが、今回は海外での状況に当時ほどの変化がないため、国内要因だけに限定されるためだ。

(中川泉 取材協力:平田紀之 編集:久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
・母となったTBS久保田智子の葛藤の訳と「養子」の真実


ニューズウィーク日本版 健康長寿の筋トレ入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月2日号(8月26日発売)は「健康長寿の筋トレ入門」特集。なかやまきんに君直伝レッスン/1日5分のエキセントリック運動

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中