最新記事

医療

英アストラゼネカ、米ギリアドに合併打診 新型コロナ治療薬とワクチン開発の主導役2社

2020年6月8日(月)09時00分

英製薬大手アストラゼネカは、米同業ギリアド・サイエンシズに対し、合併の可能性を打診した。米ブルームバーグ・ニュースが関係筋の話として報じた。写真はギリアドのロゴ、4月撮影(2020年 ロイター/Mike Blake)

英製薬大手アストラゼネカは、米同業ギリアド・サイエンシズに対し、合併の可能性を打診した。米ブルームバーグ・ニュースが7日、関係筋の話として報じた。

新型コロナウイルスのワクチン開発を目指す製薬業界の大手2社の合併は、各国が同ウイルスのワクチンや治療薬開発で主導権を争う中、政治的にデリケートな案件となる可能性がある。

ブルームバーグによると、アストラゼネカは5月、ギリアドに接触したが、ギリアドは他の製薬大手との合併に関心を示していないという。

アストラゼネカの広報担当者は、うわさや憶測についてコメントしないとした。

ギリアドは、この報道に関してコメントを控えた。

両社の合併が成立すれば、時価総額約2320億ドル(5日終値ベース)の製薬大手が誕生することになり、米メルクの2070億ドル、米ファイザーの2000億ドルを上回る規模となる。

ただ、アストラゼネカの関係筋らは、ギリアドと合併する論理的根拠に疑問を呈した。ロイターに対し、新型コロナワクチン開発へのアストラゼネカの取り組みからそれることになる大規模な合併を追求する正当性を示すのに、ギリアドのCOVID─19(新型コロナ感染症)治療薬候補である「レムデシビル」は不十分だとの見方を示した。

関係筋の1人は、タイミングを疑問視。ワクチンの成功がアストラゼネカの株価に与え得る影響を踏まえると、とりわけ移動制限で対面協議が困難な時期に大規模な合併を目指すという追加のストレスは不要だと指摘した。

ジェフリーズのアナリストは、株価収益率が12倍のギリアドには割安感があり、アストラゼネカはコスト削減などの観点から関心を示す可能性があるとした上で、合併が成立する可能性は低いとの見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染14人 2桁台7日連続
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国ではなぜ新型コロナ第2波のリスクが高まったのか
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、中南米に100億ドル融資枠 地域閣僚級会合で

ビジネス

英労働市場の冷え込み続く、被雇用者数が減少 賃金の

ビジネス

コスモエネルギーHD、今期は減収減益を予想 原油価

ビジネス

ホンダ、今期の営業利益5割減予想 米関税や円高が下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中