最新記事

コロナショック

トヨタ、21年3月期の営業利益予想は79.5%減の5000億円 当期損益は算定困難

2020年5月12日(火)18時00分

トヨタ自動車は、2021年3月期(今期)の連結業績予想(国際会計基準)について営業利益が前年比79.5%減の5000億円の見通しと発表した。写真はジュネーブで昨年3月撮影(2020年 ロイター/Pierre Albouy)

トヨタ自動車は12日、2021年3月期(今期)の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益は前期比79.5%減の5000億円となる見通しを発表した。純損益は合理的な算定が困難だとして未定とした。売上高に相当する営業収益は19.8%減の24兆円とした。

リフィニティブがまとめたアナリスト19人の営業利益予想の平均は1兆8540億円となっている。

豊田章男社長はオンライン会見で、「コロナ・ショックはリーマン・ショックよりもインパクトがはるかに大きいと思う」と指摘。「リーマンショック時よりも販売台数は落ち込むが、なんとか黒字(予想)を確保できている」と述べ、企業体質の改善に手応えを示した。新型コロナ終息後に経済復興のけん引役として「準備が整った」とも語り、「新しいトヨタに生まれ変われるスタートポイントに立った決算」と総括した。

多くの企業が今期業績予想の公表を見送る中、トヨタは今期業績予想や販売計画、需要動向など一部を公表した。その理由について豊田社長は、自動車産業は経済への波及効果、他産業への影響があるため、トヨタが1つの基準を示すことにより「いろんな方の生活を取り戻す一助になるのではないか。裾野の広い関係各社が何かしらの計画・準備ができるのではないか」と話した。

今期の世界グループ小売り総販売計画は前期比15%減の890万台。 地域別の内訳は見送った。世界の自動車市場は20年4月─6月を底に徐々に回復し、20年末から21年前半にかけて前年並みに戻る前提としている。

今期の前提為替レートは1ドル=105円(前期は109円)、1ユーロ=115円(同121円)。

4月には1兆2500億円の借り入れを実行し、事業を継続するため、取引先が資金繰りに窮した場合に備えた。小林耕士執行役員は「手元資金はリーマン・ショック時は3兆円しかなく、今は8兆円くらいあるが、番頭としては少ないと思う。米アップルは20兆円以上ある」と話した。

20年1―3月期純利益は86%減

同時に発表した20年3月期(前期)の連結決算(米国会計基準)では、純利益が前の年に比べて10.3%増の2兆0761億円だった。20年1―3月期の純利益は前年同期比86%減の631億円だった。新型コロナ感染拡大による需要低迷が響いた。

前期の売上高は1%減の29兆9299億円、営業利益が1%減の2兆4428億円だった。コロナの影響で売上高は3800億円、営業利益は1600億円減少した。

トヨタは前期まで米国会計基準を採用しており、今期から国際会計基準に変更する。

*内容を更新しました。

(白木真紀 内田慎一 編集:田中志保 高木匠)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染28人 10日連続で2桁に抑える
・緊急事態宣言、14日めどに専門家意見を踏まえ可能なら解除=官房長官
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(12日現在)
・韓国・文在寅、梨泰院のクラスター発生で新型コロナ第2波に警戒感


20050519issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月19日号(5月12日発売)は「リモートワークの理想と現実」特集。快適性・安全性・効率性を高める方法は? 新型コロナで実現した「理想の働き方」はこのまま一気に普及するのか? 在宅勤務「先進国」アメリカからの最新報告。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.

ワールド

マクロスコープ:核融合電力、国内で「売買契約」始ま

ビジネス

三井住友FG、欧州で5500億円融資ファンド 米ベ

ワールド

シリア外相・国防相がプーチン氏と会談、国防や経済協
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中