最新記事

ビジネス

全社一斉テレワーク、1カ月で見えた極意 クラウド会計サービス会社freeeが直面した課題とは

2020年4月17日(金)16時40分
中川 雅博(東洋経済 記者) *東洋経済オンラインからの転載

足かせになった「ハンコ問題」

当社に派遣をお願いしている会社との契約も、勤務地を変えるのが難しく最初は苦労した。ただ今は世の中全体が動いているので、むしろ派遣会社が派遣先に勤務地変更の交渉をするようになっているようだ。

契約書の押印はいまだに課題になっている。社内稟議は電子化されているので問題ない。社外との契約も電子契約ツールを導入しているが、電子化できているのは先方から同意をもらったときのみだ。

契約先が押印がないと契約として認めないというルールになっていると成立しない。そのため、週に1回、押印日を設けて、担当者が出社せざるを得ない状況だ。一部にはメールなどで同意していれば、契約のための押印は後日で構わないという企業も出てきている。緊急事態だからこそそうした動きが広がってほしい。

意外とわからないビデオ会議のコツ

──もともと業務上行っていた取り組みで強みとなったことは?

newsweek_20200417_105658.png

ペーパーレス化や契約の電子化を進めていたが、それでも請求書などの紙の封書がリモートワーク移行後も届いているため、一部の社員が出社して確認する必要があるという(写真:freee)

離島でテレワークしている社員がいて、テレワーク自体をスキルとして持っていた(https://developers.freee.co.jp/entry/remote-work-simple-guide)。全社でテレワークに移行した際も彼が中心になり、ビデオ会議で心得ておくことなどを社内外に共有した。

例えば、PCのマイクとスピーカーではなくヘッドセットを使う、声だけだと集中できなかったり聞こえなかったりするのでビデオ会議ツールの画面共有機能で資料を映す、いつもよりリアクションを大きく取る、といったことだ。

また、従来からペーパーレスを進めていた。会議資料はオンラインで共有する。取引先からもらった紙の資料は電子化し、今後はメールで送ってくださいとお願いするなど、紙を受け渡ししない運用になっていた。

営業活動も、画面共有機能を使って実際に営業先に訪問しない方法を進めてきた。客先から「在宅での営業が上手ですね」「マイクは何を使っているんですか」と聞かれることも増えた。ビデオ会議だと対面よりもついつい事務的になりがちで、相手の集中も切れやすい。アイスブレイクの雑談を入れたり、一方通行のプレゼンテーションにならないよう、説明していることを資料で示したり、理解しているか確認を取りながら進めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アマゾンが配送効率化で続々と新機軸、AI

ワールド

サウジ「ビジョン2030」、目標の85%完了と投資

ビジネス

企業向けサービス価格、9月の伸び3%台回復 人件費

ワールド

米のアルゼンチン支援、納税者の資金失われない=財務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 6
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下にな…
  • 7
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    【テイラー・スウィフト】薄着なのに...黒タンクトッ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中