最新記事

世界経済

太陽の黒点は「予言」? 新型コロナウイルスは世界経済をさらに危機的状況へ

2020年3月9日(月)17時36分

「2020年夏ごろまでに世界金融市場を揺るがすリーマン級のショックが起きる可能性がある」──日本銀行出身のクレディ・スイス証券チーフエコノミスト、白川浩道副会長は、昨年10月から国内外の顧客に向け発信を始めた…… NASA - REUTERS

「2020年夏ごろまでに世界金融市場を揺るがすリーマン級のショックが起きる可能性がある」──日本銀行出身のクレディ・スイス証券チーフエコノミスト、白川浩道副会長は、昨年10月から国内外の顧客に向け発信を始めた。太陽活動の活発さを示す黒点の数のサイクルが極小期に差しかかり、「金融市場の大波乱が近い」との予兆を認識したのだ。

だが、米国ではS&P総合500種が連日で史上高値を更新し、日本でも日経平均が1年超ぶりに2万3000円台を回復。日米の金融市場がそろって楽観ムードに覆われていた時期であり、各種経済指標も堅調だった。

白川氏自身、どこにリスクの芽があるのか測りかねた。「経済データが底堅さを維持する中で、黒点だけがとんでもないことが起きるリスクを示唆していた。エコノミストとして投資家に説明するにあたり、全体の整合性をどのように取るか頭を悩ませた」と振り返る。

太陽活動極小期と金融市場ショックの符合

同氏によると、直接的な因果関係やメカニズムは未だ解明されていないものの、過去の世界的な金融市場ショックと太陽活動の極小期はピタリと符合する。極小期は約11年(実際には9─13年と幅がある)周期で訪れるが、前回は2008年で、リーマン・ショックに端を発した世界的金融危機と一致。前々回は1996年でアジア通貨危機の、またその前は1986年でブラックマンデーの、それぞれ予兆となったと解釈できると言う。

それが欧州研究機関の観測で昨年後半に新たな極小期に差しかかった可能性が高まり、10年余りにわたり太陽の黒点の増減サイクルに注目してきた白川氏は「ショックイベントがどこからか降ってくる、とんでもない所から弾が飛んでくる可能性を警戒しておく必要がある」と、リスクの源は特定しない形で顧客に警鐘を鳴らした。

これに対し、顧客の反応は分かれた。きょとんとする投資家がいた一方で、ヘッジファンド勢の一部は強い関心を示したという。

新型コロナウイルスの問題は、当初は震源地の中国や「ダイヤモンド・プリンセス」号の集団感染があった日本などアジアが中心で、欧米市場ではまるで「対岸の火事」のごとく、株価への影響も限定的だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中