最新記事

日本経済

東京株式市場は大幅反落、日経平均一時900円超安 東京都の外出自粛要請で警戒台頭

2020年3月26日(木)12時35分

前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比743円34銭安の1万8803円29銭となり、大幅反落した。写真は都内にある証券会社の株価ボード前で10日撮影(2020年 ロイター/Stoyan Nenov)

前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比743円34銭安の1万8803円29銭となり、大幅反落した。東京都での新型コロナウイルスの感染者急増と週末の外出自粛要請から警戒感が広がり、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。前日、丸紅が今期の当期損益予想を赤字に修正したことで、企業業績の下押しに対する懸念も出ているという。日経平均は1万9000円を割り込んだ。

日経平均は前3営業日で3000円近い上げを演じたこともあり、利益確定売りのタイミングを計っていたとみられる。小池百合子東京都知事が25日夜、週末の不要不急の外出を自粛するよう都民に要請したことが、そのきっかけとなった。

日経平均は前営業日比311円安で反落スタート。その後、下落スピードを加速させ、一時900円超に下げ幅を拡大した。丸紅が25日、新型コロナ感染症の影響を織り込み、今期の当期損益予想を2000億円の黒字から一転、1900億円の赤字に修正したことも、企業収益への懸念を強めた。

市場からは「東京都の感染者数の増加ペースが速まったことで、日本でも都市封鎖が現実味を帯びており、市場も新型コロナの影響を見つめ直しているようだ。目先は底を打ったとしても、しばらくは新型コロナを巡る状況を見ながら、上値に対しては慎重な動きが続く」(SBI証券の投資調査部長、鈴木英之氏)との声が出ていた。

TOPIXは2.24%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆3803億円だった。東証33業種では、パルプ・紙、水産・農林を除く31業種が値下がり。鉄鋼、海運、不動産、ゴム製品などが値下がり率上位に入った。不動産については「首都封鎖の可能性や、テレワークの推進による都心の大規模オフィスの必要性低下などに連想が働きやすい」(立花証券の国際法人部課長、栗原一朗氏)との声も聞かれた。

東証1部の騰落数は、値上がりが540銘柄に対し、値下がりが1586銘柄、変わらずが42銘柄だった。

24、25日と日銀による通常のETF(上場投資信託)買いはなかったが、きょうはETF買いが入るとの見方も出ている。

日経平均は下げ足を速め、前日比で800円を超す下げとなっている。急落相場における3分の1戻し(1万8944円11銭)を達成し、さらに上値を追ったことで戻り一巡感が台頭。「日本でも都市封鎖に対する懸念が広がってきたことから、利益確定売りを急ぐ動きが出ている」(国内証券)という。

寄り付きの東京株式市場で、日経平均は前営業日比311円86銭安の1万9234円77銭となり、反落して始まった。東京都での感染者急増、週末の外出自粛要請から警戒感が広がり、それをきっかけに利益確定売りが先行している。日経平均は1万9000円を割り込んだ。

市場関係者によると、寄り前の板状況は、トヨタ自動車の銀行株など、幅広い業種で売り優勢になっている。

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・欧州当局「新型コロナウイルス、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発」
・新型コロナウイルス感染症で「嗅覚がなくなる」という症例が多数確認される
・新型コロナ、急がれる医薬品開発──抗ウイルス薬やワクチンがなかなかできないのはなぜ?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事の反対票、注目集めるもFOMC結果

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

前場の日経平均は反発、最高値を更新 FOMC無難通

ワールド

ガザ情勢は「容認できず」、ローマ教皇が改めて停戦訴
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中