最新記事

感染症

黒田日銀総裁「コロナウイルス、SARSより経済への影響大きい可能性」

2020年2月4日(火)17時20分

 2月4日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は衆院予算委員会に出席し、新型コロナウイルスによる肺炎に関し「日本、世界経済に影響を与える可能性がある」と指摘した。日銀本店で1月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

日銀の黒田東彦総裁は4日の衆院予算委員会に出席し、新型コロナウイルスによる肺炎に関し「日本、世界経済に影響を与える可能性がある」と指摘した。2002-03年に流行した新型肺炎SARSよりも影響が大きくなる可能性にも言及した。

一方「今の時点で追加緩和するというのは時期尚早」と付け加えた。前原誠司委員(立国社)への答弁。

黒田総裁は「新型コロナウイルスの影響について評価は難しいが、すでにいくつか影響が生じている」と指摘。「中国国内の経済活動が抑制されているほか、日本や米国で製造業のサプライチェーンに影響が出ている。中国人観光客の減少を通じて、日本経済、世界経済全体に影響することが懸念される」と分析した。

「特にSARSの時と異なり、世界経済における中国経済のプレゼンスが非常に大きく、サプライチェーンも拡大しており、その結果影響が大きくなる可能性も意識する必要がある」と警戒した。

国際金融市場でも「投資家のリスクセンチメントが慎重になっている」とし、日銀として今後の経済・物価に与える影響や市場動向に「最大限の注意を払う」と強調。「必要な時に必要な対応が取れるよう万全の対応をする」との考えを示した

経済・物価の下振れリスクに対応して追加緩和に踏み切るかとの質問に対して、「現時点で、追加緩和の具体的内容については(発言を)差し控えたい」とけん制。「従来から必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく緩和を追加すると言っている。その場合の政策手段としてさまざまなものがあり、その組み合わせで、その他工夫の余地がある」とした。

日銀の国債買い入れに関し「昨年後半の金利低下時に減額したが、その後は減額していない」と説明した。低金利進行で国債買い入れを減らすことになるなら、日銀の政策運営指標である、物価目標達成まで保有国債残高を積み増すルールと、長短金利操作は、矛盾するのではないかとの質問に対して、そのようなことはないと反論した。

(竹本能文)

[東京 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中