最新記事

航空機

ボーイングCEO、737MAX問題で引責辞任 株価上昇

2019年12月24日(火)07時45分

米航空機大手ボーイングはデニス・ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。写真はミューレンバーグCEO。4月29日撮影(2019年 ロイター/Jim Young)

米航空機大手ボーイングは23日、デニス・ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。来年1月13日付でデービッド・カルホーン会長がCEO兼社長に就任する。

運航再開のめどが立たない「737MAX」の生産を年明けから一時停止する計画は危機が長期化する兆しと受け取られており、顧客や規制当局からの信認回復を目指す。

ボーイングは声明で「規制当局、およびすべてのステークホルダーとの関係を修復する中、信頼の回復に向けリーダーシップの交代が必要だと取締役会は判断した」とした。

ミューレンバーグ氏の辞任を受け、グレッグ・スミス最高財務責任者(CFO)が移行期間中の暫定CEOを務める。

ボーイングの株価は3月以降20%を超えて下落したが、この日の取引では一時約4%上昇した。

ミューレンバーグ氏は2015年にCEOに就任。34年にわたるボーイングでのキャリアの中で737MAX問題が最大の試練となっていた。

米下院運輸委員会のピーター・ディファジオ委員長は「ミューレンバーグ氏解任の機は熟しきっていた」とし、ボーイングの決定を支持。「同氏の下、長年高い評価を得てきたボーイングは安全よりも利益を優先する多くの壊滅的な決定を下した」と述べた。

ボーイングは15─16日に開いた取締役会で、2件の墜落事故を起こした旅客機737MAXについて、同機の生産を来年1月に一時停止することを決定した。

エコノミストは、737MAXの生産停止によって米成長率が0.5%ポイント押し下げられると試算する。

先週は737MAXの生産一時停止計画の発表に加え、信用格付引き下げ、同社宇宙船「スターライナー」の飛行試験失敗など、ボーイングを巡る悪いニュースが相次いだ。

ティール・グループの航空宇宙アナリスト、リチャード・アボウラフィア氏はカルホーン氏のCEO就任について「短期的な安定」をもたらすと評価しつつも、長期的にボーイングに必要なツールキットを提供することには懐疑的な見方を示した。

*内容を追加しました



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アサヒグループHD、システム障害復旧のめど立たず 

ビジネス

ステランティス、過去4年にイタリアで1万人削減=労

ビジネス

日銀ETF、売却に100年かける必要ない 売却益の

ワールド

米、輸入木材に10%関税・洗面台など25% 10月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 2
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から思わぬものが出てきた...患者には心当たりが
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    シャーロット王女の「視線」に宿るダイアナ妃の記憶.…
  • 6
    マシンもジムも不要だった...鉄格子の中で甦った、失…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 9
    英国王のスピーチで「苦言チクリ」...トランプ大統領…
  • 10
    カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 3
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 6
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中