最新記事

日本経済

マネックス松本大社長「市場活性化には個人投資家の『アクティビスト』化が必要」

2019年3月23日(土)12時00分

──マネックス証券は今年で創業20年周年となる。個人投資家にどのような変化を感じるか。

「オンライン証券の登場によって、プロと似たような環境で売買できるようになり、個人投資家の裾野が広がった。投資リテラシーも上がり、個人と機関投資家の差が小さくなってきた。一方、インデックス(指数)取引が広がり、日本の個人にも、個別株ではなく日経平均レバレッジ・インデックス連動型ETF(上場投資信託)などをトレーディングする人が増えてきた」

「資本市場にとってインデックス取引は1つのすばらしい発明だったが、それが行き過ぎると、個別企業の価値をみる、考えるということに対するエネルギーが減る。資本市場と投資家の関係という意味では、退化、後退したと思っている。これは日本だけでなく世界的な問題であり、機関投資家を含めた投資家全員の問題として考えていかなければならないテーマだ」

「インデックス化の進展と、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)が重要になってきたことには関係がある。インデックス投資家は個別株を選べないので、議決権行使やエンゲージメントによって保有株の価値を上げたり、価値が下がるのを防いだりする。その時にESGなどの尺度で測って意見を述べる。投資コストが下がるとか、ESGやSDGsといった概念が世界に広がっていくとかプラスの面も多かったが、行き過ぎると価格発見機能がなくなるなど弊害も出てくる」

──これからの株式投資のあるべき姿は。

「日本の証券会社として社会に貢献できるのは、1つの切り口で言うと、日本企業のPER(株価収益率)を引き上げ、国際競争力を高めることだと考えている。近年のインデックス取引の広がりで、個人が個別の企業価値を見極めることにエネルギーを使う時間が減った。個人投資家が主体的に企業価値を高める働きかけができるようにすることも、証券会社の重要なミッションだ」

「具体的には、個人投資家が企業にモノを言えるようにしたい。『個人投資家もアクティビストになろう』と言っている。実際、アクティビストで著名なブーン・ピケンズの生涯リターンは、ウォーレン・バフェットよりいいと言われている。個人投資家もリターンが上がる可能性が高まるとなれば、企業のことをよく研究するようになる。企業のことが分かると、さらに(株を)買えるようになり、マーケット全体のPERを上げることにつながり得る」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米連邦高裁、解雇された連邦政府職員の復職命令に否定

ワールド

一定月齢以下の子どものコロナワクチン接種を推奨=米

ワールド

インド、綿花の輸入関税を9月末まで一時停止

ワールド

中国のレアアース磁石輸出、7月は6カ月ぶり高水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 6
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中