最新記事

ゲーム

カプコン社長「モンハンの出足は100点以上」「eスポーツに本格参入する」

2018年2月16日(金)17時55分
渡辺拓未(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

toyokeizai180216-2.jpg

カプコンの辻本春弘社長は「モンハンをグローバルタイトルにしたかった」と述べ、今回の新作では「最先端の技術でユーザーの声に応えた」と話す(撮影:田所千代美)

ニンテンドースイッチへの展開は?

――モンハンは昨年任天堂が発売した据え置き機「ニンテンドースイッチ」への展開も期待されています。

そうした需要があるというのは認識している。われわれもすでに携帯機「ニンテンドー3DS」に出した『モンスターハンターダブルクロス』のスイッチ版をすでに発売している。ただ、さまざまな条件を考えると、今モンハンワールドをスイッチ向けに出すことは難しい。スイッチは他の据え置き機とは機能もユーザー層も違うからだ。

ゲーム機にはそれぞれ特色があり、われわれソフトメーカーはそれに適応したソフトを作る必要がある。「モンスターハンター」も含めて、自社の保有するゲームタイトルをどのようにスイッチへ対応させるかが今後の検討課題だ。

toyokeizai180216-3.jpg

モンハンはニンテンドースイッチにどう対応するのか(撮影:梅谷秀司)

――据え置き機向けソフト開発では、海外の大手メーカーが技術力や予算規模などの面で優位にある。これからカプコンはどのように戦っていくのでしょうか。

確かにグラフィック技術の面では海外の大手と比べたらまだまだ。今後も最先端技術に追いつけるよう努力しなくてはならない。ただ、重要なのは技術そのものではなく、それを生かして面白いゲームを作ること。モンハンワールドや昨年発売した『バイオハザード7』では、ユニークな世界観がユーザーの支持に繋がった。他社にないゲームを作る企画力で戦っていきたい。

それに加えて、現在力を入れているのがデータをゲームの開発・販売に生かす取り組みだ。店頭でのパッケージ販売が中心だった時代はユーザーの声を聞く手段が限られていたが、今はインターネットを通して数多くのデータを拾うことができる。

モンハンワールドにおいても、発売前に実施した体験版の反応や『バイオハザード7』で得たデータが製品開発や需要予測の役に立った。モンハンワールドのヒットで今まで以上に多くのデータが集まってきているので、今後のタイトルに生かしていきたい。

eスポーツにどう取り組む?

――近年、海外を中心にゲーム対戦を「eスポーツ」という競技として見直す動きが活発化していますが、日本ではあまり普及が進んできませんでした。

日本のゲーム業界全体がeスポーツに対してあまり着目していなかったことが大きな要因だ。今からeスポーツを1つの産業として普及させるためには、個別の企業が散発的に取り組むのではなく、業界全体が足並みをそろえる必要がある。

そのために設立したのが、今回の日本eスポーツ連合だ。国内の統一団体ができたことで、日本のゲーム団体であるCESA(コンピュータエンターテインメント協会)やJOGA(日本オンラインゲーム協会)、そして複数存在していたeスポーツ緒団体が一体となって推進活動を行えるようになった。国内の各事業者を束ねたeスポーツ団体というのは、世界中を見渡しても今回が初めてのケースだ。

現在、eスポーツをオリンピックのようなリアルスポーツ大会の種目へと組み込む動きが出てきているが、「どのゲームを競技種目にするか」「参加国はどうするか」といったルールの整備はこれから。世界で唯一の統一団体として、世界のeスポーツ普及にも役立てるようになりたい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中