最新記事

投資の基礎知識

今さら聞けない、円高になると日経平均が下がる理由

2017年2月20日(月)12時13分
高野 譲 ※株の窓口より転載

sorbetto-iStock.

<なぜ円高になると株安になるのか。日本における「為替と株価の奇妙な関係」を解き明かす>

私たちが投資した株式の価格は、時に為替相場の大きな磁力に動かされてしまいます。夜のニュース番組の終わりには、アナウンサーが「今日は円高の影響で日経平均は値下がりしました」「円が買われて株が売られました」という原稿を読む姿をよく見かけます。番組はそのまま終了し、疑問符だけが残ります。

「円高で株安......なぜ?」

円高ということは、より少ない日本円で、より多くのもの(より高いもの)を海外から手に入れられる、ということです。日本にとっては最高のはずなのに、なぜこれで日本株が売られてしまうのか? 今回は、この私たちの国の「為替と株式の不思議な関係」を解説したいと思います。

円高とは? 円安とは?――為替相場の基本

通貨(為替)と株価は連動して上昇(あるいは下落)するのが一般的です。他国より経済が強い国ほど自国通貨の価値が高まり、その国の株価は上昇します。現にアメリカは、自国通貨ドルの上昇にともなって株高に動いています。

しかしながら、5年前まで低迷し続けていた日本の株式市場に対して、当時の為替相場は1ドル=80円にまで達していました。株価が下がるなかで円高が進行していたわけです。この状況を「病気だ」と言う人もいました。「通貨が上がると株価が下がる」のは、日本独特の"病"と言えるのかもしれません。

そもそも「円高」「円安」とは、どういうことでしょうか。まずは、為替相場の基本からおさらいしましょう。

たとえば1ドル=100円のとき、両替所に1ドルを持っていくと100円がもらえます(わかりやすくするために手数料は考慮しません)。これが1ドル=50円になると、1ドルを両替しても50円にしかなりません。倍の2ドルを出して、やっと100円と交換できます。

これは「ドルの価値が半分になった」とも言えますし、「円の価値が2倍になった」とも言えます。前者を「ドル安」、後者を「円高」と表現します。つまり円高とは、ドルが売られることであり、円が買われることです。反対に、円が売られてドルが買われる状態が「円安」「ドル高」となります。

為替相場とは2つの通貨の相対的価値(交換レート)ですから、一方が上がれば、当然もう一方は下がることになります。

そして、一般的に「円高」「円安」と言った場合は、アメリカのドル(米ドル)に対する円の価値を指します。米ドルは信用力が高く、世界中どこに行っても使うことが可能で、「基軸通貨」と呼ばれています。海外の有名観光地では、現地通貨よりも米ドル紙幣が普及していることもあります。

国際間の貿易でもこの米ドルを使うのが一般的で、以下の解説も、すべて米ドルに対する「円高」「円安」が前提となっています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中