最新記事

格差

超リッチ層の富の独占が止まらない!

世界の上位1%の最富裕層が世界の富の半分以上を保有し、上位20%がほぼすべてを保有する

2015年1月20日(火)19時42分
エミリー・ロディッシュ

35億人分に相当 ビル・ゲイツなど最富裕層80人の資産は膨れ上がる一方 Tim Ireland-Pool-Reuters

イギリスを拠点とする国際慈善団体オックスファムが、昨年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)直前に発表した衝撃的な数字を覚えているだろうか。貧富の差が拡大するなか、世界で最も豊かな85人の資産総額が、世界で最も貧しい35億人(世界人口の半分)に相当するまでになったという報告だ。

 あれからちょうど1年。状況はさらに悪化している。金持ちはよりリッチに、貧しい人々はより貧しくなった結果、今や35億人分に相当する資産をわずか80人の最富裕層が握っている。

フォーブス誌の億万長者リストに名を連ねる彼らは、以前にも増して早いスピードで富を増やしていると、今週発表されたオックスファムの報告書は指摘している。彼らの素顔を簡単に紹介すると......。


■80人のうち35人がアメリカ国民で、14年の彼らの資産総額は9410億ドル。

■80人のうち70人が男性。

■80人のうち68人が50歳以上。

■80人のうち14人は小売業で財をなした。

 2010年に1兆3000億ドルだった彼らの純資産は、14年には1兆9000億ドルに膨れ上がった。つまり、4年間で6000億ドル増えたわけだ。一方、下層の35億人の資産総額は一段と目減り。この流れが続けば、16年までに1%の超富裕層が、世界の富の50%以上を独占することになるだろうと、オックスファムは予想している。

 今でもそうじゃないかって? 厳密にいえば、現時点で1%の超富裕層が保有するのは世界の富の48%。残りの52%の大半は、上位20%の富裕層が独占している。

 つまり、それ以外の80%の人々は世界の富の5・5%という小さなパイを奪い合っていることになる。1日2ドル以下で暮らす人々も数十億人に上る。

「圧倒的な貧富の差が存在している」と、オックスファム幹部は声明で述べている。「一部の超富裕層とそれ以外の差が急速に広がっている」

 格差問題の解消に向けて、中国やアメリカは税制改革を検討しているが、大企業からの強い反発が予想され、一筋縄ではいきそうにない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 7
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中