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ヤフーとAOLの統合はあり得ない?

バーツCEOを解雇したヤフーに、AOLとの統合話が再び浮上。しかし実現の見込みは薄そうだ

2011年9月12日(月)16時18分

崖っぷち 広告収入を回復できず、キャロル・バーツCEOを解雇したヤフーだが(カリフォルニア州サニーベールのヤフー本社) Kimberly White-Reuters

 米インターネット大手AOLのティム・アームストロング会長兼CEOが、米ヤフーとの統合に向けて再び動き始めたようだ。

 ヤフーといえば、9月6日にCEOのキャロル・バーツが解任されたばかり。その直後に今回の統合話が浮上した。

 現在アームストロングは統合を視野にヤフー側と接触しているという。ブルームバーグによると、アームストロングは昨年からヤフーとの統合に意欲を見せていたが、当時はバーツがAOL側の提案を拒否したという。しかしバーツがいなくなった今、統合に向けて両社の機運は高まるのではないかと期待する声もある。

 ヤフーとAOLは近年、グーグルやフェースブックなどの競合企業に広告費を奪われ、収益減を余儀なくされてきた。ヤフーは08年に米マイクロソフトから475億ドルの買収提案を持ちかけられたが、これを断った。経営再建のため、09年にバーツをCEOに起用したものの、その後も広告収入は振るわず、先週ついにバーツを解任した。

バーツ解任後にヤフー株は急上昇

 ヤフーとAOLは現在、双方にメリットをもたらす統合の形を模索中だとされる。可能性の一つとして、ヤフーがAOLを買収し、アームストロングが統合後の新会社のトップに就任するという形も検討されているという。

 しかしブルームバーグによれば、実のところヤフーがAOLとの統合話に興味を示しているとは考えがたいという。AOLも、巨額の損失と売上高の減少に悩まされているからだ。

 現在、ヤフーの時価総額は182億ドル。AOLの時価総額16億ドルのおよそ11倍だ。AOLはAOLタイム・ワーナーから分離した09年以降、8億ドル近い損失を出している。

 IT系ニュースサイトのテクノロジー・ライブによれば、ヤフーの株価はバーツ解任直後に12ドル台から10%以上アップ。その後も上昇し、9日の終値は14ドル48セントとなった。しかし07年には30ドル以上に達した時期もあったのを考えると、依然として振るわない数字だ。やっぱり統合は慎重に考えたほうがいいのかも?

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