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グーグル全自動カーの野望

2010年10月22日(金)15時14分
小暮聡子(本誌記者)

 人間ではなく、ロボットが運転する車に乗りたいと思うだろうか。例えばカーナビに人工知能が搭載されて、道案内だけでなくハンドルまで握り始めたら?

 グーグルは今月上旬、こんなSFさながらの構想を発表した。開発しているのはビデオカメラやレーダーセンサー、レーザー式距離測定器を使って周囲の歩行者や自動車を認識し、目的地まで自動走行するロボット自動車。既に7台の実験車がカリフォルニア州を中心に約22万5000キロ以上の走行実験に成功した。

 開発目的は世界で年間120万人の死者を出している交通事故を減らし、渋滞解消によってエネルギー消費を抑えること。ニューヨーク・タイムズ紙が伝えたグーグルのエンジニアの話によると、ロボット自動車は人間のように注意散漫にならず、周囲の交通状況を確認しながら走るため事故が減る。衝突の心配がなければ車体を軽量化し、エネルギー消費を減らすこともできる。車間距離を最小限にしながらも安全に走行できるため、渋滞も緩和できる。

 グーグルはこの自動車の普及によって、交通事故の犠牲者を現在の半分に減らせると主張。ロボット自動車を高速道路で走らせ、大量に人を運ぶ「ハイウエートレイン」構想までぶち上げた。

 ただこの技術が実用化できるかどうかは未知数。酔っぱらって携帯をいじりながらでも、自宅へ連れ帰ってくれる車ができたらうれしいけれど。

[2010年10月27日号掲載]

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