最新記事

労働条件

「こんな仕事はくそ食らえ!」

2010年8月16日(月)18時51分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 マクロ的に見ると、過去1年のアメリカの労働者数はほぼ同数。企業はその労働者に対し、もっと働き、生産し、サービスすることを要求してきた。支援も昇給もほとんどないままに。労働省統計局によると、過去4半期の間に「一定量のモノを生産するための労働コストは2・8%減少した。時給の伸びを時間当たりの生産の伸びが上回ったからだ」。

 だが一方、労働省統計局が8月10日に発表した4〜6月期の生産性統計は衝撃的なものだった。過去数年間で初めて、生産性が年率0・9%のマイナスを記録したのだ。つまり、労働者が長時間働いても生産の伸びはそれに追いつかなかった。もう限界ということだろう。

 スレーターの「自己解放」は、こうした数字の背景にある人々の現実を鮮やかに物語っている。過去2年は、企業にとっての黄金時代だった。彼らは自分たちが雇いたいと思う人材をいくらでも安い給料で雇うことができ、また給料を上げないままでも人材を引き留められた。

 だがこの先も成長を続けたい企業は、どこかの時点で頑なな態度を改め、パートであれフルタイムであれ新しい社員を雇い入れるか、下請けと契約するしかない。
 多くの企業は、雇用情勢の厳しい今、社員や求職者は仕事を得て維持するためならどんなことでもすると思い込んでいる。実際、そういうアメリカ人も多い。

 だが、人は必死になれば決死の行動に出ることもある。きちんとした報酬も与えず労働者を搾り上げ続ければ、「こんな仕事はくそ食らえ」と言われる日がくるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、第2四半期納車台数は再び減少の見通し 競争

ビジネス

ユーロ圏製造業PMI、6月改定49.5に上昇 受注

ビジネス

訂正-独製造業PMI、6月49に改善 新規受注が好

ビジネス

英労働市場は軟化、インフレへの影響が焦点─中銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中