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米GDP最新値は言うほど悪くない

4〜6月期の実質成長率は年率で前期比2.4%増と伸びが鈍化したが、二番底は心配しなくてもいい

2010年8月2日(月)12時47分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 7月30日に発表されたアメリカの10年4〜6月期のGDP(国内総生産)成長率は年率換算で前期比2.4%と、成長の伸びに鈍化が見られた。だが今回の報告には、ほかに注目すべき点が3つある。

 1つ目は、米経済の二極化を裏付けたこと。貿易やサービス業などアメリカ国外との取引が多いグローバル企業ほど好調で、国内市場のみに限られる不動産業のような分野は不調のまま。4〜6月期の個人消費は1.6%増と前期の1.9%増から減速したが、設備投資は17%増と、前期の7.8%増に比べて大幅に拡大した。

 2つ目は、二番底を恐れる声に反して、米経済が適度な速さで拡大し続けているということ。1〜3月期の成長率は2.7%から3.7%に上方修正され、これで10年上半期には3%成長を遂げたことになる。十分な成長速度とは言えないにしても、二番底を心配する必要はないだろう。

 3つ目は、過去10年間の景況が思っていた以上に悪かったということ。米経済が「失われた10年」に向かっていると危惧されるなか、雇用や所得、株価、国家財政の数値を見れば、アメリカは既に失われた10年を経験していた。報告書では、GDP成長率が07年は2.1%から1.9%、08年は0.4%から0%、09年はマイナス2.4%からマイナス2.6%に下方修正された。

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