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海外転職「逆アウトソーシング」の悲哀

2010年5月24日(月)12時36分
ナンシー・クック

 不況が続くなか、フリーで働くアメリカ人に国外で職を得る人が増えている。「oデスク」「eランス」といった短期契約の求人情報サイトによれば、イギリスやオーストラリア、中国、インドなどの企業は人材をアメリカに求める傾向がある。いわば人材の「逆アウトソーシング」だ。

 oデスクの仲介で国際企業に採用されたアメリカ人は、09年2月の1429人から、10年2月には4285人へと急増。eランスによれば、インドで働くフリーランサーの今年の所得の伸びは35%だったが、アメリカ人は45%だった。

 国際企業は文書作成や編集、マーケティング、IT事業をサポートできる高度な英語力を求めている。「地元の雇用が消えた地方都市に世界中から仕事を呼び込める」とoデスクのCEOゲーリー・スウォートは言う。「自らの手でキャリアを切り開ける」

 とはいえ人件費的にはシビアだ。国際企業の契約社員の時給は臨時雇いの例に漏れず平均5ドルから30ドルと幅があり、諸手当はなし。求人情報サイトはウェブカメラやキーボードのパンチング数のカウント、閲覧画面チェックを通じて労働者の生産性を監視する。フリーランサーがミニ多国籍企業になっても、グローバル優良企業のような手厚い待遇は望むべくもない。

[2010年5月26日号掲載]

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